『新版 さらば、悲しみの性』 河野 美代子 著 集英社文庫
サブタイトルに「高校生の性を考える」とあり、何となく気持ちひかれて購入しました。
私自身、何も「若い学生は体を大事にしろ!」なんて説教する気は全くないですが、この本は女性の婦人科医が人工中絶、性病などにもきちんと触れていて、非常にメッセージ性の強いものに感じたからです。
著者は産婦人科の開業医の方ですが、その診療の中で非常に若い女性の、特に10代の患者がものすごく増えてきたことに驚き、そして非常に簡単に妊娠してきてしまう事に悲しみすら覚えます。
「愛し合っていればセックスなんて当然」という価値観が氾濫する現代ですが、望まない妊娠、辛い人工中絶、それによる心の傷・・・。
「性のことなんて、そんなのみんな知ってるよ」と学生に言わせてしまう程度の、お粗末な性教育がどんな影響を与えるのか?この本には胸に響く言葉が沢山あります。
「なるほど、強姦じゃない以上、合意の性交であれば、お互いの責任といってもいいでしょう。しかし、じゃあ、その結果についてはどうなのか。結果の方も、お互いに半々で背負えるのか?」
どんなに、「お互いの責任だからな」と言っても「妊娠」という結果を背負うのは女性です。フェミニスト的な意見でなく、これは事実です。
著者はこれまでの診療の中で、沢山の無責任な男性を見てきて、また、「彼が求めるから」という理由だけできちんとした避妊もせず流れにまかせて性行為をしてしまう、「イヤ」と言えない女性達に何度も出会っています。心にズシンとくる言葉が多いのは、河野氏の心の訴えに自分が反応するからだと思います。
人工中絶の場面や性病の症状・治療についても、かなりリアルに書いています。読んでいて、お腹のあたりが重くなりました。
でもこういった事実をきちんと知ることを学生時代に学ぶという事はもっと、「相手の身体について考える」という事につながるでしょう。
私にもいつか子供を持つ日がくるでしょう。その子供がある程度、言葉を理解できるようになったら私はきっとこの本を与えようと思います。男の子には特に読ませたい。
長々となってしまいましたが、それだけ考えることの多い一冊でした。