『イン・ザ・ミソスープ』 村上 龍 著 幻冬舎文庫
村上 龍氏は私の大好きな作家の一人です。やはり『コインロッカーベイビーズ』から入りましたが(いまだに私の中でのNO.1!)、気だるさの雰囲気の中にもなんだか力強い物を感じる作品が多いところに、いつも惹かれてしまいます。
『イン・ザ・ミソスープ』には、歌舞伎町で夜の性風俗ガイドをしているケンジの身に起こった恐怖(?)の3日間の出来事が書かれています。
ある日、ケンジの携帯電話に「フランク」と名乗るアメリカ人から夜の案内を頼みたいという依頼が入ります。待ち合わせの場所で会ったフランクはそれまでケンジの会ったどんな外国人とも違う、それは何だかフランクの皮膚からも感じられて、とても「人工的」なイヤな感じがケンジを襲います。
フランクが話す彼自身の話も一貫性が無く、またふとした瞬間にかい間みる彼の「怒り」の表情に、最近起きた売春をしていた女子高生の惨殺事件を思い出します。
2日目にとうとうケンジはもうひとりの「彼」を見てしまうのです・・・。
ミステリーではないのでネタバレにはならないと思いますが、やはりフランクは2日目にケンジの前で、残虐な殺戮を平静の表情で行うんです。ケンジもやはり殺されそうになりますが、結果としてフランクは彼の命を奪うことはしなかった。殺された人々とケンジの違いは何だったのか?フランクは異常者だけで片づけてもいいのだろうか?
本当に読者はフランクの感情を一切理解できないといえるのか?
それは、皆さんで感じてみて下さい。
ちなみに、表紙の人物がやはり「フランク」をイメージさせるような写真です。笑っているようなんだけど、ちっとも人間らしくなくて人工的。
¥533+taxです。お安いモンだ!