第2章

第2章の総括

 1903年から1908年にかけての歌曲は、同時期に作曲された3つの器楽曲(2つの弦楽四重奏曲、《室内交響曲第1番》)と相互に影響しあいながらその作風を変化させていった。この時期の作風の変化の原動力となったのは1903年に完成された《ペレアスとメリザンド》である。和声の面では完全4度の堆積による和声や、全音音階に基づく和声がこの曲で始めて使用された。この曲におけるこれらの和声の使用は非常に控えめなものであったが、ヴィーンヘ戻ってからの作品ではこれらの和声が次第に積極的に用いられるようになり無調期以後の作品においてもこれらの和声は多用され続けた。また《ペレアスとメリザンド》の非常に対位法的な作風はその後の作品でさらに発展させられ、この現象は歌曲の分野でも例外ではなかった。歌唱声部もピアノパートも同一の動機で集中的かつ対位法的に展開される傾向が次第に顕著となり、主要旋律と伴奏といった従来の歌曲にありがちであった図式はほとんど消え去り、すべての音符が本質的なものとなっている。特にOp.12やOp.14などの調性期末期の歌曲においては、上に挙げた和声や対位法の革新的な使用が全曲にわたって認められ、ほとんど調性感は感じられなくなっている。


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