光収穫系タンパク質の構造とバクテリオクロロフィルの結合

紅色光合成細菌の光収穫系タンパク質はバクテリオクロロフィル (ここではBChlaを示した)を含み、この色素により光を集めその励起エネルギーを転送することが可能になっています。この色素は光収穫系タンパク質にどのように含まれているのでしょうか?

 はじめに光収穫系タンパク質のモデルを示しましょう。これはこちらで示した、LH-2のX線構造解析の結果からLH-1をマンガで示したものです。

この図ではロッド状のものがタンパク質であるポリペプチドを表わしています。内側のポリペプチドはα体で青色にマークしてあります。外側のそれはβ体で赤色に表わしています。そして、緑色の四角のプレートが色素であるバクテリオクロロフィルを表わしています。

 ポリペプチドのアミノ酸配列はこちらに述べてあります。ポリペプチドはαヘリックス構造をとり棒状の形をしています。

 LH-1複合体は光合成膜中では光合成膜中に貫通して入り込んで、リング構造をとり、中心にRCが入っていると考えられています。

 色素はこの外側と内側のロッド状のポリペプチドにはさまれて存在しています。X線構造解析の図(LH-2)の色素のLH-1との共通部分を上から見てみましょう。

[G. McDermott, S. M. Prince, A. A. Freer, A. M. Hawthornthwaite-Lawless, M. Z. Papiz, R. J. Cogdell, and N. W. Isaacs, Nature, 374, 517-521 (1995).]

ぐるりと全体はリング状になっているのがよくわかると思います。ロッド状のポリペプチドは上から見ると丸で表現してあります。色素部分は上から見ると線に見えます。そして色素と色素は少しずつずれて規則的に接しながらとなりあっています。

 この図をクリックすると色素部分を横からみた図です。

 外側と内側で向かい合っているタンパク質-色素はペア(ダイマー)を組んでいると考えられています。ダイマーを組むことによって色素を会合させ、光を効率よく励起エネルギーとして転送できると考えられています。(これについてはまたべつのところで)

 次に色素への結合様式を部分的に化学式を用いて示します。

左に上の二量体のマンガ、右に色素の部分をクローズアップして示します(絵をさらにクリックすれればもうすこし見やすい拡大された画像を見ることができます)。

ポリペプチドのアルファ、ベータと色素の結合は第一にタンパク質のヒスチンジン残基のイミダゾールのNから色素の中心金属のマグネシウムへの軸配位で結合されます(赤い矢印)。次に水素結合のネットワークによって色素の方向性が固定されます。水素結合はここに示したものはタンパク質のトリプトファン残基からバクテリオクロロフィルのC=Oの酸素部分への水素結合です(緑の矢印)。また最近では軸配位しているヒスチジンの反対側のNがペアになっている反対側の色素の酸素部分と水素結合していると考えられています。

 ポリペプチドと色素の水素結合ができている根拠は、C. Neil HunterによるとR. sphaeroidesのLH1遺伝子のC末端側のトリプトファンをフェニルアラニンやチロシン、ヒスチジンに変換してその吸収スペクトルとFTラマンの変化を見ることから結論している。FTラマンではC2アセチルの伸縮のシフト幅をみて、それと吸収スペクトルの相関をとる。[Sturgis JN, Olsen JD, Robert B, Hunter CN. Functions of Conserved Tryptophan Residues of the Core Light-Harvesting Complex of Rhodobacter sphaeroides. Biochemistry 1997;36:2772-2778.]のpp2777, Fig. 4。この遺伝子改変の手法は以前よりHunterらによってすすめられて来ていたのですが、上の論文はラマンのシフト幅と吸収スペクトルに相関があるというのがうまいんですよね。つまりは分子の配向性を水素結合がきめていて、配向によってエキサイトンカップルがかわるから長波長シフトが変わるというわけです。

 このようにタンパク質-色素複合体は高度に対称的な環状構造をとり、色素を会合そしてリング構造をとらせ高効率な励起エネルギー移動を発現しています。従来知られているタンパク質-色素複合体(例えばシトクローム、ヘモグロビン、光反応中心)は色素をタンパク質がすっぽりつつむようなポケットがあると考えられていただけにこのような空間があいた状態のポリペプチドのすき間に色素が規則正しく配列されているとはおどろきでした。

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