光合成色素
ここでは光合成色素として紅色光合成細菌の色素であるバクテリオクロロフィルを紹介しましょう。
光合成の色素の多くは緑色に見えます。ここで紹介を続けるのは光合成細菌のものですが、植物が緑色をしているのはこれに類似した化合物なのです。もちろん、種により化合物は微妙に変わります。
紅色光合成細菌の色素はタンパク質にとりこまれています。その光合成タンパク質から色素を取り出してきてその構造が明らかにされてきました。その一つであるバクテリオクロロフィルの構造式を下に示します。

光合成に使われているこのタイプの色素は中心金属がマグネシウムで、化合物は環状の構造になっています。そしてこの環状の周りを電子が飛び回っているのです。二重結合をたどってみてくださいくるりと一周できたはずです。この周回している電子の持つエネルギーと同じエネルギーの光はこの色素に吸収されるのです。そして吸収されなかった光をわれわれは見ることになるのです。それが緑色に見えるわけなのです。
それでは光を受け取った色素はなにをするのでしょう?上でも述べましたがあらためて述べますと、その役割は大きく分けて二つに分けることができます。
1 光を受け取って隣の色素にわたす。
2 受け取った光をもとに電子を放出する。
これらの機能は色素だけで行われているわけではなくタンパク質との共同作用の結果可能になっているのです。逆にいえばタンパク質がこの色素に特定の機能を持たせているのです。
亜鉛をもつ色素について
ところで最近中心金属がマグネシウムだけではなく亜鉛のものが見つかりました。これまで中心金属はマグネシウムだけと考えられていただけに、なぜ自然は二とおり用意したのか興味深いところです。中心金属としてはさらにあるのかもしれません。これはまた有機化学者の興味をひきつけています。なぜなら、有機化学者はクロロフィル誘導体としてマグネシウムではなく亜鉛を用いてきたからです。マグネシウム化合物よりも亜鉛のほうが有機合成がしやすい、安定といったことから亜鉛は好まれてきました。ところがこれはモデルとしてはいいのですがではマグネシウムは?と必ず聞かれました。例えば、私たちは光合成タンパク質との再構成では色素として以下のものをモデル的に用いてました。

この化合物はバクテリオクロロフィルとは電子的にも異なりポルフィリンと呼ばれる化合物なのですが、われわれはモデル的に光合成タンパク質(光収穫系タンパク質)と組み合わせてきました。我々だけでなく亜鉛ポルフィリンをモデル系で採用してきた有機化学者は、このような亜鉛の化合物も生体系でみつかりいままでの研究の意義が高まったと考えています。
補足
ポルフィリン化合物は我々に大変なじみのあるものです。それは血を赤くしている化合物です。そう、ヘモグロビンにふくまれているヘムです。この中心金属は鉄でできています。また、このヘムも血液中では酸素運搬体として機能しますが、肝臓中では疎水性の化合物を水酸化して水溶性にするというはたらきがあります。ここでもタンパク質が機能を発現させていることがわかります。