LHRC複合体の構造がX線構造解析で4.8Aで解析されました。

2004/4/7 記、2004/7/18 追加

大阪市立科学館友の会機関誌「うちゅう 8月号」の「楽しい光合成研究 4.」の補足記事をかねています。)

 X 線構造解析データはインターネットのデータベースサイトからだれでもダウンロードできます。またそれを表示するソフトもフリーで特別なコンピューターはいりません。WindowsやMacintoshで十分動きます。このような形で現在膨大な生物の情報が公開されています。タンパク質の構造やゲノム(遺伝子配列)や代謝経路のデータベースのデータの閲覧やデータ解析・検索などの研究をバイオインフォマティックスといいます。
 ここで紹介したLH1-RCのデータをとって表示するまでを簡単に紹介しましょう。英語のホームページですがなるべく詳しく書きますので一緒にアクセスしてみて下さい。
 http://www.rcsb.org/pdb/にアクセスします。Search the Archive と書かれた四角いフォームがホームページタイトルのすぐ下にあります(赤かこみ箇所)。ここにRc-Lh1 Coreと入力しsearchボタンを押します。

すると目的のページ(1PYH)が表示されます。このページの左のView Structure(赤囲み箇所)をクリックします。

data: 1PYH <http://www.rcsb.org/pdb/cgi/explore.cgi?pid=149431081345087&page=20&pdbId=1PYH>

論文: Roszak, A. W., Howard, T. D., Southall, J., Gardiner, A. T., Law, C. J., Isaacs, N. W., Cogdell, R. J.: Crystal Structure of the Rc-Lh1 Core Complex from Rhodopseudomonas Palustris. Science 302 pp. 1969 (2003)

 ここで、VRML, Rasmolなどの形式でダウンロードできます。ここではRasmolを選びましょう。クリックすればハードディスクに保存してくれます。もしくは名前をつけて保存するかどうか聞いてきますので保存します。ファイルネームは1PYH.pdbと拡張子pdbがついています。


 Rasmolといのはソフトウェアの名前で
http://www.umass.edu/microbio/rasmol/>内の<http://www.umass.edu/microbio/rasmol/getras.htm>からダウンロードできます。使い方は日本語で多くのサイトが紹介しています。分子を見るだけだったらそれほど難しくありません。2つ紹介しましょう。

タンパク質立体構造の表示と立体構造データベースの利用<http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/~bukka/gallery/rasmol/rasmol.html>(静岡大学内のサイト)

分子構造の表示について<http://www.giib.or.jp/mtsnp/viewstructure/RasMol_ja.html>

 またWindows XPをお使いの場合、データファイルはデスクトップでなくマイドキュメント内に保存してください。Rasmol自身はデスクトップにあっても大丈夫です。ファイルの開き方はRasmolを起動後真っ黒なウィンドウが現れるのでそこにファイルをドラッグします。

 Macintosh(OS X)をお使いの方はiMol<http://www.pirx.com/iMol/>(ダウンロードは<http://www.pirx.com/iMol/data/iMol_030.dmg.gz>)がお勧めです。

 また、最近開発が進行している日本で開発されているMOLDAがあります。マニュアルはじめ日本語でよめるのでお勧めです。<http://www.molda.org/molda-j/welcome.htm>

 また先日光合成セミナーで話したある先生のお勧めはpymol<http://pymol.sourceforge.net/>でした。

 これらのソフトウエアをダウンロードして解凍して下さい。そしてソフトウエアから先ほどのファイル1PYH.pdbを開けば3D でぐりぐり動きます。画面上の分子をマウスでドラッグして動かしてみると分子がくるくる回転することがわかると思います。あなたの手のひらに分子がのっかったかのような錯覚を覚えるでしょう。

ここではiMol(Mac OSX版)を使いました。


1.上からみましょう。LHのバクテリオクロロフィルは黄色にしてあります。

RCはReaction Center (光反応中心)、LH-1はLight-harvesting-1 (光収穫系1)です。

さて、まず気がつくのはLH-1がRCのまわりをぐるりと取り囲んでいることです。しかし完全な円ではなく歪んでいます。さらにCのところで切れています。ここにいすわっているのはWというポリペプチドです。このシーケンスはわからないそうです(コッグデル先生から聞いた)。

LH-1部分を見ます。Aはαポリペプチドです。Bはβポリペプチドです。矢印部分だけでなくそれぞれがぐるりと取り巻いています。

BChl aはLH2と類似のスタッキングをしています。

2.さて少し傾けてみてみましょう。

LH-1環の切れ目がわかります。また、ポリペプチドの感じがわかると思います。

実はこのポリペプチドまだアンノウンで同定されていません。

3.さて横から。

BChl aがまっすぐとりまいていることがわかります。

3−2.色素の配置

 色素だけを抜き出してみましょう。くるりととりまいているのがアンテナLH-1由来のバクテリオクロロフィル。アンテナ部分の色素の働きはこちらをご覧ください。

 反応中心の色素は青、水色、紫、緑で示しています。反応中心の色素の働きはこちらをご覧ください。(電子伝達経路は片方なのですが、X線構造解析データからどちらなのかうまく読み取れませんでしたので電子はまっすぐとなっています。)

 なおこの図は富士通のCACHE(商用)を利用しています。

4.議論

4−1.LH-1の切れ目はなぜあるのか

RCから電子がシトクロムに移動するためのキノンがでるゲートと考えられています。

4−2.LH-1の形

LH-1はLH-2のような真円という信念でコッグデル先生は解析にのぞみましたが、意外や意外、楕円でした。RCによりそうように取り巻いています。ということは、、、、私は一つ実験を思いつきました。

4−3.解像度

まだアミノ酸がはっきり決まっていないようです。PalustrisのLHの配列もコッグデル先生が直接メールで、というくらいです。

LHの親水部の構造はほとんどわかりません。

カロテノイドの位置もまったく見えていません。解像度があがればわかるよ、とのこと。

Scienceの文章ではRC部分はsphaeroidesのものをいれているとか。

最後に

高等植物の系1、系2もわかってきましたので、進化や膜タンパク質のデザインなどの観点から今後が楽しみです。

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