3.光合成タンパク質の不思議
3−1.光合成タンパク質の中はどうなってるの?
この章から光合成タンパク質について化学レベルで述べていく予定です。前章まででのべたように紅色光合成細菌の光合成タンパク質について説明いたします。他の光合成タンパク質については次章で進化とともに述べていきたいと考えています。
光合成はまず光を必要とします。光を捉え、それを用いる方法があるはずです。これまでお読みの方はもうご存じだとは思いますが、光合成タンパク質がそれを行っているわけですね。ではこの光合成タンパク質はどのように光をうけとって利用しているのでしょう?
光合成タンパク質の種類
いままで光合成タンパク質とひとくくりに述べてきましたが、光合成タンパク質を大きくわけると
(1)光収穫系タンパク質 光を集める働きを持つ(光エネルギー移動)
(2)光反応中心 その光から電子の流れを作り出す(電荷分離)
の2種類あるのです。それを光合成膜で図示すると下のようになります。(図はクリックすると大きくなります。)
タンパク質は光をどのように集め、電流を起こしているのでしょうか?
タンパク質自身は通常は目に見える領域には色を持ちません。したがって光があたっても光はすり抜けてしまいます。では何が光を受け止めているのでしょう。
それはクロロフィルなどの色素です。クロロフィルというのは緑色の色素で、植物が緑色をしているのはこの色素のせいです。
他に身近なところでは食品添加剤としても用いられており、ガムとかに含まれているものです。光合成細菌ではクロロフィルとは分子構造がすこし異なるものが使われていて、バクテリオクロロフィルといわれています。右に化学式(aタイプ)とその模式図を書きました(化学式の苦手な方は右の円盤モデルだけ見ていて下さい)。
この分子はコンパクトディスクのような環状の平面構造をしておりその面の上を電子が走り回っています。右側の円盤モデルでは緑色の円盤の上を黄色の電子がまわっているのをマンガで示してあります。化学式でいえば二重結合部位がぐるりと環を作っていますね。
また中心金属としてマグネシウムイオン(Mg)が入っています。他にはこのマグネシウムイオンのないタイプのフェオフィチンと呼ばれる化合物があります。最近では中心金属に亜鉛が入ったバクテリオクロロフィルをもつ光合成細菌がみつかり話題を集めています。また、はじめにガムに入っていると書いたのはバクテリオクロロフィルではなくてクロロフィルの中心に銅イオンが入ったもので食品添加剤として広く使われています。
また、カロテノイドという物質も光合成に役立っています。カロチンといえばにんじんにはいっていますね。これは環状ではなく直線状の細長い分子です。
これら分子はタンパク質中に固定されていて光があたると分子の中の電子はその光のエネルギーをうけとりエネルギーが増大します。そのため、上でのべた光エネルギー移動や電荷分離などの機能を発揮できるのです(詳しくは次回)。しかし、これはバクテリオクロロフィルをはじめとするこれらの分子がタンパク質中で配列された時にしかうまく機能が発揮できません。これを下の図にまとめてみました。
タンパク質中にあるこのような分子がたんにばらばらに存在していても機能をなんら発現しないことは化学でモデル的に検討がおこなわれた結果明らかになっています。
たとえばどのように色素が配置されているのでしょうか?ちょっこっとだけお見せしておきましょう。光反応中心では下のようになっていることが知られています。
光合成タンパク質中の分子の配列やタンパク質の働きはどうなっているのでしょうか?次回以降からこれらタンパク質の構造と機能の関係と、色素の配列などについて述べていきます。その前に来週は光と分子中の電子の相互作用として色に関係する吸収、蛍光、電子移動という概念の説明をお届けします。
第8回おわり