2.光合成はどこで行われているのでしょうか?

2−4.二酸化炭素の固定をする光合成

最近、二酸化炭素の削減がさかんにいわれています。二酸化炭素濃度が増大すると大気温度が増大し、極地の氷がとけたり、環境破壊に重大な影響を与えるのではないかと心配されています。このため二酸化炭素の削減は急務といわれています。

 1997年12月には京都で第3回地球温暖化防止条約締結会議がひらかれ、先進国全体で1990年にくらべて6 %の削減率がきまりました。我々自身の未来の保全です。

では、この二酸化炭素とはどういう物質でしょうか?

 二酸化炭素は炭素1個に酸素が2個結合しただけのいたって簡単な化合物です。この化合物はご存じの通り紙やらガソリンなど有機物質を燃やせば出てきます。炭素化合物が酸素と激しく反応し燃えた結果、その炭素化合物の結合エネルギーを熱および光として放出した後の化合物です。このため石油による火力発電など毎日膨大量のCO2が排出されています。身の回りでも自動車エンジン、ガスコンロなど燃焼によって二酸化炭素を排出するプロセスはたくさんあります。

 この二酸化炭素は燃焼後の化合物です。このことからこの化合物のエネルギーは非常に低く、したがって化学反応がおこりにくく科学者にとっては非常に取り扱いにくいものでした。

 最近はこれらの二酸化炭素を触媒上で化学反応させたり、バイオマスプロセスで植物に効率的に消費させ有用物質への転換など、二酸化炭素の消費技術が積極的に技術開発されてきていますが、まだまだ不完全です。先の会議では二酸化炭素の低減技術開発の国際協力については、ほとんど進展しませんでした。

 二酸化炭素をとりまく社会的な状況はこのような状況です。

それでは自然が太古からおこなってきた二酸化炭素の固定はどのようにおこなわれてきたのでしょうか。

 光合成初期過程による電子の流れが光合成膜に起きていることは前回説明いたしました。この電子伝達エネルギーでATPが作られているのです。ATPとは化学物質で生体エネルギーの共通のエネルギー貯蔵物質となるものです。

 少々化学式を使います。

ATPはアデノシン三リン酸の略なのですが、アデノシン部分は右に示した青でマークした部分。そしてリン酸部分は赤でマークした部分です。三リン酸という意味はリン酸が3つつながっているということで、この図では赤いだんご3つで示してあります。 化学式のよくわからない方はこういうものか、でいいと思います。

 このATPが化学エネルギーを貯えることができるのはこの3つつながったリン酸の最後の一分子がとれたりくっついたりするからです。下の図でこの最末端のリン酸がはずれる時エネルギーの放出がおこり、その逆に、くっつく時エネルギーの貯蔵がおこなわれる仕組みになっています。

 前回お話したATP合成酵素はこの右から左の反応を水素イオンの濃度勾配のたすけをかりて進めているのです。

 このATPの反応は二酸化炭素の固定にも使われるのです。二酸化炭素の固定と糖の合成についてはとても複雑ですが経路はわかっています。カルビン回路というものです。

 これを全部取り上げるのはここではやめて二酸化炭素の固定のところでATPが使われているということを示すにとどめます。


 左の図に示しますように、二酸化炭素の固定ははじめリブロース・1,5−ニリン酸と酵素によって反応することによって進みます。この酵素がどういうものかは私の持っている本では載ってませんでした。

 この反応によってグリセロリン酸・三リン酸が2分子生成します。

 この反応で赤くマークしたリン酸と炭素(C)数に注目して下さい。左の分子はリン酸が2分子ついて炭素(C)が5個のものですが、二酸化炭素がはいることにより炭素がひとつ増え、右の分子では炭素3個づつで2分子となっています。このときリン酸部分もひとつづつ分子がひきとることがわかります。

 つぎはATPがでてきて上の右の分子のカルボン酸(COOH部位)にリン酸を一分子結合させます。これも酵素反応です。

 エステル結合になっていますね。 

 そしてこの分子のリン酸はまたはずされるのです。くっついたばかりでなんで離れるのでしょう?

 じつはここで、NADPH(NADH)分子による還元がおこりカルボン酸がアルデヒドに転換されているのです。

 ここまでが二酸化炭素の固定を光合成から作り出したエネルギー(ATP)でおこなっているところです。このあとはさらに酵素で反応が進みますが、光合成の初期過程とは離れてしまってきているので、ここではここまでとします。

 今回は化学式をたくさん使ってしまったのですが、赤くマークしたリン酸部位の反応がATPとの反応と交換でおこっているということがおわかりいただければ結構です。

 以上、二酸化炭素の固定は光合成で作り出したエネルギーでおこなっていることを説明しました。光合成が二酸化炭素の固定におよぼす重要な役割が理解していただけだしょうか?

目を太古の地球に向けると光合成が二酸化炭素を消費し酸素を生成することによって地球は今日の環境を作り上げてきました。実はわれわれが大量に消費している石油もこれら太古の生命活動の産物なのです。

 しかし、今日これだけ膨大な二酸化炭素の排出がおこなわれていると地球上の植物の光合成だけでは炭酸ガスの増大をまかないきれません。おまけに緑は年々少なくなってきており、地球環境は悪化の一途をたどっているようです。緑の減少を食い止めなければいけません。自動車の排気ガスによる酸性雨、ゴルフ場による森林破壊、また、森林伐採による砂漠化現象と緑は少なくなっていく一方です。

 ところで、この二酸化炭素と地球温暖化の関係はまだはっきりはしてない要因もあるそうです。例えば海水の温度が上昇すれば海水が含む二酸化炭素の大気への吐き出しが無視できないくらいあるといわれています。こうなると観測だけではどちらが原因でどちらが結果かわからないという議論もあります。しかしできるだけのことはやっておくべきでしょう。

 あなたは環境にやさしい生活はできるでしょうか?自家用車をやめて公共機関に変える覚悟や、ゴルフはやめるなどのような禁欲生活はできますか?

さて次回は光合成細菌の特徴や進化について簡単に述べるつもりです。

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第五回おわり

1998/04/08

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