2004年03月31日
>シェーファーのルル
まっちゃんのサイトでクリスティーネ・シェーファーのルルのDVDが発売されたとある。グラインドボーン音楽祭のもの。私は幸運にもテレビ録画できてお宝ビデオと化しています。話が話だけにしょっちゅう見るというわけでもなく、これまでに3回くらい見た程度です。
指摘どおり、彼女の歌唱・容姿・演技はすばらしく、演出も現代風。未来風でないのがいい。ルルの運命が上向きから下向きに仕組まれていることがよく出てきますが、彼女のしたたかな振る舞いがうまくいっているのですがいつのまにか追いつめられていきます。
音楽は甘味で官能的、扇情的そして暗くどんぞこそして美しい。
このサイト内のベルクについてはこちらです。参考になれば。
ビデオを見るまとまった時間は今はないので今晩はブーレーズのCDでも聴くことにします。
投稿者 iida : 23:26 | コメント (1) | トラックバック
2003年12月21日
ベルクのバイオリン協奏曲
今日は共同研究先の大学のゼミの忘年会。その帰りに酔っぱらいながら、ベルクのバイオリン協奏曲を選択。渡辺さんとシノーポリさんの演奏。
ややアップテンポなスピードで、中低域をかなりシノーポリさんが盛り上げる感じ。
この曲を聴くとベルクは真剣に12音のある可能性を追求したと、感じられる。12音で安らかな表情を表出できたのはベルクだけ、しかもこの曲だけと、いえないだろうか。
そんなのは当たり前さ、これはレクイエムなんだから。
そう、それはたしかに。
しかし、シェーンベルクは「ワルシャワの生き残り」ではレクイエムの表情を一瞬たりとも見せずに、徹底的に恐怖を表出した。そもそもレクイエム的な安らぎなど眼中になかった。
と私は思う。
安らぎは今の時代のあまりに安易な合い言葉ではある。
しかし、このような表現の可能性がたとえロマン派の残照、と批判されながらも12音の徹底的な考察、これが実は厳密な12音ではないとしても(それならシェーンベルクだってそうだ。)、12音による表現様式で多彩な音楽をつくれる証明だと思う。
12音に足りない(かった)のは明朗で、うきうきするような音楽がうまれなかったことだ。時代がそうさせなかったのか。シェーンベルクのOp. 24~29あたりではアイロニーのある楽しさで、うきうきする音楽ではない。
ベルクだってルルの研ぎすまされた音響と人生への省察を追求した。ルルは「美しい」といえる。ただし私には恐怖でもある。転落する人生を送りたくない。幸せの裏返しに不幸へのささやきが隠れている。
ベルクのバイオリン協奏曲の出だしと終楽章の美しさ、はかなさ、バッハ譲りのコラール。真の傑作である。