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2003年10月24日
5−4.【全集】
・「ウェーベルン全集」(SONY SRCR 8711-3)
OP1-OP31,《J・S・バッハ 6声のリチェルカーレ 編曲》,《シューベルト ドイツ舞曲 D620 編曲》
ブーレーズ/ロンドンSO、ジュリアードQ、スターン(Vn)他
ウェーベルン/フランクフルトRSO
このセットはCBSが新ウィーン楽派の中でもただでさえ録音の少なかったウェーベルンの作品をそれもまとめて録音したもので、DGGのラサールQの「新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲全集」、カラヤンの「新ウィーン楽派の管弦楽曲集」と並んで、新ウィーン楽派が見直されるきっかけとなった記念碑的な意味を持っている。それまでは新ウィーン楽派の作品については同時期にこれほど体系的に録音されたことはなかった。
このセットだけで作品番号付きの作品は全て揃う。しかも番号順であることが嬉しい。ウェーベルンは調性音楽から無調を経て十二音音楽へと後戻りすることなく進んできた作曲家であるため、番号順に入っていることの意味はことのほか重い。それだけでも買いである。
ブーレーズに限ればバラになるがDGGよりベルリンPO他を振ったものが90年代に入って3枚出ている。それを核に例えばDGGでこのセットと同じ内容を揃えることも可能であるが、室内楽や声楽曲、ピアノのための変奏曲が各1枚であるので計3枚を別に購入する必要がある。もっとも、このセットに入っていない作品も幾つか手に入れることは出来るが番号順に聴くことは出来ない。
価格はこのセットはミッド・プライスであるのに対し、バラ物はレギュラー・プライス中心となるため倍あるいはそれ以上の差になってくる。ウェーベルンは初めてでとりあえず全集を揃えたいということであればまずこのセットが頭に浮かぶ。ただ注意したいのはウェーベルンの作品には思いのほか歌曲が多く歌詞が重要な役割を果たす場合が多いので、英語がよほど堪能なら別であるが、歌詞及び解説書の翻訳を考えれば40−50%高くても日本盤を買った方が正解だと思う。
ブーレーズのこのセットにおける演奏と新盤との比較であるが、シャープかつアグレッシブな感じはこのセットの方が際立っており、いわば現代音楽の延長線上にあるのに対し、新盤はオケのうまさ、ゆとり、流れの良さで勝っており、古典派、ロマン派の流れの延長線上にあるように思えないこともない。
以上の印象は全ての曲に共通して感じられるが、テンポに関してはOP6までは新盤の方が速く、それ以降については旧盤の方が速いという現象が見られるのはどうしてだろうか?ブーレーズが過去の解釈を反省し録音し直した理由は知っていてもよくわからない。それはさておき、スタイルの違いは結構大きいのだが、いずれも高い水準でまとめているということで優劣は付け難く好みの問題としか言いようがない。
ジュリアードがらみの室内楽に関しては、LP初期から既にこれらの作品を得意としていただけあってストレートな表現が目立ちブーレーズの演奏と一脈通じるものがある。細かいニュアンスの表出では他に優れたものもあるが、ジュリアードQのメンバーだけで演奏している作品の水準は高い。他の奏者が加わったりしている場合でもあまり違和感はない。
独唱曲に関しては他にもっと良いものがあるようにも思うが表現主義的な歌唱ということであればこれもなかなか捨て難いと思う。
シェーンベルクに関しての著書もあるローゼンの弾く《ピアノのための変奏曲》に関しては残念ながら他に面白いものがたくさんあるように思う。所属アーティストにグールドがいたのに何故?
そして忘れてならないのはこのCDの最後に入っているウェーベルンの自作(編曲)自演のシューベルトのドイツ舞曲である。これ以外に自作を振ったものはないという意味でも貴重である。シューベルトに敬意を表してか穏やかな原曲のイメージを色濃く残した編曲であり、本人の指揮について把握するまでは至らないが感慨深いものがある。
最後の曲は別として、セット物ということで編成によって音場の違いが出るのはやむをえないがSBMでリマスタリングしてあり音自体は悪くない。
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投稿者 iida : 2003年10月24日 00:02
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