« 4−2.【協奏曲】 | メイン | 4−4.【器楽曲】 »

2003年10月23日

4−3.【室内楽曲】

《弦楽四重奏のための5楽章 OP5》

圧縮様式が始まった曲で、緊張感が強い。色々な奏法が駆使されており、まるで弦楽器奏法のカタログである。過去にこれだけ多くの音色がこれほど短い曲の中に聴こえたことがあったろうか?室内楽で最初に聴くべき曲だと思う。個人的には今までで聴いた回数が一番多い曲であり、ウェーベルンのイメージはこれで形成された。管弦楽編曲版もあり、また違ったよさがある。

《ヴァイオリンとピアノのための4つの小品 OP7》

圧縮様式、弦楽器奏法のカタログである点は前曲と同じである。時代が逆なので例えるにはちょっと気が引けるが、1曲目と4曲目の入りがメシアンを思わせる。また、注意していないと聴き落とすが、1曲目の最後にピアノの意外な音が聴こえる。2曲目は前の《弦楽四重奏のための5楽章 OP5》との関連が極めて強いように思えう。ここで聴けるピアノはウェーベルンでは最もダイナミックではないだろうか?

《弦楽四重奏のための6つのバガテル OP9》

圧縮様式のピークにある作品。まさに「瞬間芸の世界」。アレッと思っているうちに終わってしまう。《弦楽四重奏のための5楽章 OP5》の方が迫力があるが、全体的に一段と洗練され、細かいニュアンスが感じられる音楽となっている。

「ほんの一つの身ぶりで一編の長編小説を、ほんの一息の吐息で或る幸運を表現すること、かかる凝縮は、節制に応じて悲哀に溺れぬところでのみ起こるのである。」(シェーンベルク《6つのバガテル》への序文より)

《チェロとピアノのための3つの小品 OP11》

これは圧縮様式の最後の作品。1曲1曲は《弦楽四重奏のための6つのバガテル OP9》より長いが、作品全体の演奏時間は最も短い。作品7もそうであるが、ピアニッシモの音が消えていく時、無限の暗い闇が訪れる。

《弦楽三重奏曲 OP20》

この曲は集中的に声楽曲が書かれた後に、再び器楽曲に戻った最初の曲であると共に、十二音技法の最初の作品である。そして完成度という点では最上位に置かれるべき曲である。筋金入りの強靭さとスキのないこの曲が好きである。バルトークの中期の弦楽四重奏曲等が好きな人ならきっと気に入ると思う。

「弦楽三重奏曲は、最後の音まで構成されていると同時に、ここでは構成されたものなど一つもないのである。以下略」(アドルノ「ウェーベルン論」)

《四重奏曲 OP22》

ヴァイオリン、クラリネット、テノール・サクソフォーン、ピアノといった特異な組合せであり、だれが聴いても点描主義の音?が理解できる作品である。

普段聴き慣れていない分、妙にサクソフォーンが艶めかしく、全体の音色を支配している。ウェーベルンの作品の中ではこの曲はなぜか気楽に聴くことが出来る。

《弦楽四重奏曲 OP28》

室内楽では最後の作品であり、BACHの4音をもとにした音列を使用している。ウェーベルンのライヒへの手紙によれば、ウェーベルンはこの作品、特に第3楽章に相当自信を持っていた様子である。

前期の弦楽四重奏のための作品とは一線を画しており、音が自発的に流れていくような印象がある。好きな曲だが、第2楽章のカノンが印象的ということ以外特徴がとうも説明しにくい。ただあるがままに弦の響きを楽しんでいる。

この他に番号のない弦楽四重奏曲は初期を中心にいくつかあるが、どれも聴き易いと思う。

声楽曲の次に多く作曲しているのは室内楽曲であり、習作や、未完のものを含めると弦楽四重奏のための作品は20曲以上あるという。また、作品番号のない弦楽三重奏曲が中期の後半に2曲、チェロとピアノのための作品が2曲ある。

MMウェーベルンを語るへもどる

投稿者 iida : 2003年10月23日 23:51

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.greengrape.net/cgi-bin/MT/mt-tb.cgi/855

コメント

コメントしてください




保存しますか?