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B&W スピーカー購入レポート

Author: iida <romanesque@mac.com>

2000/10/22 記

 音楽を聴くのにオーディオは重要な要素ですが、マニアからそんなの気にしないCDラジカセで十分さという方まで、いろいろな方がいらっしゃるのが実状でしょう。私もふだんはそれほどオーディオに興味があるわけではないので買い替えなどはめったにしませんが、今回はスピーカをB&WのコンパクトスピーカにリプレースしたらCDの印象が変わってきたのでそれについて述べることにしましょう。

 先日おしらせしたように当サイト「新ウィーン楽派の紹介」の管理人のiidaの住居は東海豪雨で水没しました。そのときアンプとCDプレイヤーは救うことができました。しかしスピーカは水没させてしまいました。あとCDが200枚以上水没しました。アルファベットでM以下は水没しましたので、モーツアルト、マーラー、シューベルト、シェーンベルク、シュトックハウゼン、ウェーベルンなどが水没しました。CDはあらえばオッケーとおもったのが甘くて部分的に加水分解など起きているようです。悲しいことです。

 さてそれでスピーカー、B&W CDM#1SE を購入しました。今回の音はかなりかたいですが細かい音まで聴こえます。

 しかし、以前のオンキョーのスピーカはもっと響いたのでちょっととまどっています。オンキョーのスピーカは定価7万円程度で実売5万切るくらいの価格で、オーディオショップにマーラー、メシアンなどのオーケストラ曲や弦楽四重奏曲やメシアンの「鳥のカタログ」/ウゴルスキのピアノ、パーセルのチェンバロのCDを持ち込み聴き比べをして購入しました。ですから解像度も高く、音質も非常に気に入って6年程使っていました。

 今回は買い替えということとでワンランク上の予算で選ぶことにしました。B&Wは定価10万円(ペア)とツウランク上ですが、実売は処分品が7万5千円でした。はじめにこのスピーカをショップで聴いたのですが綺麗にまとまりすぎて、物足りない感じでした。それで同一価格帯のものをいろいろ。国産D社のものは置方がわるいせいか音がスピーカのへんで鳴ってるだけででてこず、フランス製JM社?のものは音が刺激的すぎ、スイスかどこかのメーカーは音がまろやかでこもりがちだったので、はじめのB&Wにもどるとはやりバランスがとれてて色気がない(笑)ですがクラス1の高解像度であることをたしかめました。

 当日不幸にも試聴用CDを忘れてしまい、お店のグラモフォンのサンプラで確認しました。お店のお兄さんはなにを血迷ったのか1960年頃のビバルディをはじめかけてくれたのですが、なんか音がかたくてざらざらしていましたので確認したらそのことがわかり、最近の録音のものないか?とリクエストしたらグラモフォンのものをもってきてくれました。さすがにドイツグラモフォンの4D録音です。つややかで直接音がわずかにブレンドしてあってソロ楽器がでてくるときは目の前に出てくるような臨場感で録音してあります。そいう状況でスピーカをえらんだわけです。曲にはストラヴィンスキー/火の鳥/ブーレーズなどがふくまれていました。これはよく聴く曲。

 15年くらい前に購入したBose 101もお気に入りなのでBoseもためそうかと思いましたが、 B&Wの最高機種はドイツグラモフォンのリファレンススピーカに使われているらしいのでこれ以上まよわずに購入しました。車も水没して現在購入手続き中なので宅急便で送ってもらうことにしました。

 さて次の日の午後、スピーカが到着しました。しかしクリアすぎて音ガリガリです。とても悲しい思いをしました。しかしそのうち気がつきました。こりゃオンキョーのスピーカが響き過ぎてたんだ、ということに。

 中音域の内声部がまるで飛び出てくるように聴こえてくるのです。

 具体的にいくつか述べましょう。

 アルバンベルクカルテットのヴィオラの音がくっきりとうかびあがり、ベルクの最も重要な作品叙情組曲ではこの演奏はかなり印象がよくなりました。(いままで不満だった)。

  同じような現象としてはラサールカルテットのブラームス弦楽四重奏1&3のCDもいままで音がなよなよして安定していなかったのですが、このスピーカーで聴くと各パートが実に緊密によりそってアンサンブルが練られていることがわかりブラームスの音楽にたいする(アンビバレントな)敬愛がますます高まる結果となりました。

 またシェーンベルクの室内交響曲のウェーベルン編曲のもの/ハーゲンカルテット&パウル・グルダも内声がすばらしくくっきり聴こえ、シェーンベルクの複雑さと編曲の巧さ、演奏の難しさを実感でき、その美しい音楽にひさびさに興奮しました。

 シェーンベルク/ラトルのCDも室内交響曲をはじめ響きがやわらかく管楽器のニュアンスが豊かになり、これもいままで不満だったのに満足できる演奏に変わりました。

 ブラームス 交響曲4番/カルロス・クライバーでは主旋律の美しさはこれまでどおりですが対旋律が実にデモーニッシュで、主旋律がロマンティックにうたっていても、その実感情をあおるように焦燥感とか明るくない未来への不安感のような、非常にやりきれない音楽がうたわれていて、いやそういう部分があるからこそクライマックスでは渋い解決をしているのでしょうが、なにかそういうとんでもないものが背後におさめられているように認識できました。ほんとにすごい曲です。

 これらのことを考えてみると、内声部がいままでのスピーカのキャビネットでは倍音などで響いて聴こえていなかったと考えることができます。だからしつこくホワイトスペクトルとって雑誌に掲載していたNT氏のような方の記事が意味あるといえますが、しかしこれは静的な観測ですので、各周波数でパルスを出力して波束の広がりや増大や減衰の様子、倍音への影響などをサンプル測定しなければ見えない、とエンジニアのiidaは思います。B&Wでは驚いたことにコーンにケブラー繊維を利用しています。これは繊維ではもっとも剛性のある素材で防弾チョッキなどにも使われるくらいです。コーンから他の振動数が誘起されるのを防いでいるわけです。

 またシュトックハウゼンの「シリウス」もかけてみました。この曲はシンセサイザーが多用されトランペット奏者とシンセサイザー音楽とのデュエットがEMIに切り出されていて、その部分が大好きなのです。今回聴いたのはシュトックハウゼン出版のCDです。するとシンセサイザーの音色がまるで違って音がたくさん聴こえてきてとても聴いていて面白い音楽になっていることがわかりました。もちろんメインのメロディと副声部くらいを追っかけていてもいっちゃっている音楽なのですが、それがこんなに細かな支えをもって響きがつくられているとは驚きました。

 低音に耳をかたむけるとオーケストラ曲や室内合奏でも低弦のごんごん弦がうなるような音までくっきりと再生できています。ベートーベン/ガーディナーの交響曲7番なんかすごい合奏です。こういうこまかい音の再生は曲や演奏の雰囲気をきめるすごく大きなパラメーターになるんですよね。

 高音部にいくと特殊奏法が泣けます。マーラーが使い、シェーンベルクが受け継いだ楽器の重ね合わせで微妙な音色を続けるところなど、音の美しさ、まさに作曲家が狙った音の複合がどれだけ表情があるかが納得できました。マーラーの6番、9番の波打ち、こなごなにくだけちる最大の合奏のさなかの楽器の音色が推移していく様を見るように聴くのは興奮です!シェーンベルクも同様で、音色旋律を導入しはじめた表現主義期の曲は特に美しくやさしく響くようになりました。

  ヤナーチェックの弦楽四重奏/アルバンベルクカルテット。これは特殊奏法の嵐です。弦楽器にこれだけ表情があるとは、もちろんライブできけばわかるのですが、ライブというのはこちらもかなり興奮しているので細かいところ聴いてなかったりするのが、CD 収録されたものをじっくり聴くと演奏家の芸の完成度に胸をうたれることになります。

 ピアノ曲はあまり聴いてませんが、ブラームス後期間奏曲集/アファナシエフはペダルを押さえる雰囲気まで聴こえてくるようで、音の立ち上がりもすばらしいのですが音が消えていくところまで美しく演奏されています。

 さてマイナス面もあります。

 このスピーカはトゥイータ指向性が強すぎて、スピーカの真ん前、しかも内側向きにおかないと音がぼけぼけで御飯食べながらとかコンピュータに向かってながらで聴くとかには全然向かないのです。最適位置からずれると臨場感は大幅に減少します。ちょっとこまったものです。

 そして最上位機種も聴かせてもらいましたがお値段は20倍、すごい臨場感でした。物欲がふつふつと。しかしもっとお金持ちになるまで待ちましょう(笑)

 さて、そんなわけで今回はスピーカについてのべましたが望むべくはコンサートに行くことですね。昨年体験したウィーンでのマイケル・ティルソントーマスのロンドン交響楽団のベルクのオーケストラ組曲はまさに目の前で聴くことができて、ベルクの音楽が恐くなりました。エモーショナルでいて細かく計算され、マーラーのように幸福から不安定さまで極度に複合的な気分をもち、私達のふだんみない深い自分の内面をあらわしていたようでした。トラウマを覗き込んでいるような。このような感覚はコンサート行かなければだめです、しかしCDを200枚以上おもちになる方はそれにあわせてスピーカを十分お使いのものでしたらリプレースするのも手ではないかと思います。きっと手持ちのCDの再評価は楽しいですよ。特に私が感じていたのと同様の不満があれば是非どうぞ!え、もっといいスピーカもってるって?これは失礼しました。

 なお、CDプレイヤーはYamaha CDX993でアンプは AVX-200 DSP(7チャンネルスピーカアンプですが接続しているのは1ペアだけ)です。

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