Alban Bergの人物像、音楽、CDレヴュー

CD レヴュー 

M.Mizuno

・《ヴォツェック》(LP 輸入盤 DGG 270 702-3)

F・ディースカウ(Br)、リア−(Sp)、ヴンダーリッヒ(T)他

ベーム/ベルリン・ドイツオペラO

ベルクを語るのに欠かすことが出来ないのがオペラなのですが、ベルクは2つの作品において悲劇を題材として選び、そのいずれにおいても従来のオペラの題材にはなかった社会批判を行い、音楽的にはワグナー風にライトモティーフを使用するとともに形式へのこだわりを見せています。《ヴォツェック》にしても《ルル》にしてもその台本、音楽は非常に奥が深く、特に台本については色々な捉え方が出来るようで、そこまで踏み込んで聴くことが出来るようになるにはまだ時間が掛かりそうです。

《ヴォツェック》は無調で作曲され、被差別者を扱ったドラマらしく不吉な空気が全体を覆っています。上記のディスクは輸入盤のLPなので1枚目のA面が1、B面が3、2枚目のA面が2、4という風にオートチェンジャーのレコードプレーヤー向きに収録されおり、かけ替えの手間が結構面倒くさいので現在はDATに落して聴いています。

ベームは極めて早い時期からベルクに理解のある指揮者でした。これは舞台での上演に先駆けて録音したものなのですが、まだベームが好々爺となる前の録音ですので、例によってがっしりとした骨格を感じさせる硬派の演奏となっています。とはいえ長い間このディスクしか聴いたことがなかったので、それを認識したのはブーレーズ盤を聴いてからなのですが。

ブーレーズそしてアバドの演奏を聴いた時の衝撃は大きく、その後ではこの演奏にモノクロ映画を見ているような古臭さを感じた時期もありました。しかし現在ではこの精緻さも色気も欠けた無骨な演奏が《ヴォツェック》の暗く不安な雰囲気には合っているとも思っています。アバド盤のような音色の魅力はないものの、時折聴かれるソリッドな金管の咆哮がとても効果的に感じられます。

もう一つこのディスクで素晴らしいと思うのはディースカウのヴォツェックとヴンダーリッヒのアンドレースです。特にディースカウは例によって説教臭く歌ではないという批判が出るかもしれませんが迫真性という点とびぬけているように思っています。リアーのマリーはちょっとクールな感じも受けますが、歌唱に関しては合唱も含めこのディスクが一番まとまっていると思います。

CDは国内盤では2枚組(P POCG-2671-2)なのですが、輸入盤では《ルル》(2幕版)とカップリングされ3枚組(DGG 435 705-2)でミッドプライスで出ています。

(2000/4/16)



←ベルクのCDレヴューページに戻る

←ベルクのページに戻る

←新ウイーン楽派のページに戻る

編集 飯田

著作権は水野氏および飯田にあります。文章の無断転載はおやめください。