2005年06月26日

対称性の破れ

ローマの石棺彫刻01をみると人物配置には対称性があり、しかもわざと破っている。

以下の写真に一例をしめした。

roma01_2.jpg

この写真は以前示したものである。
人物の配置をABC-A'B'C'で示した。左右対称である。
人物の顔の向きを矢印で示した。左右対称である。
人物の体重のかかり方を緑の線で示した。左右対称である。
これらの左右対称でこの作品の大きな安定性が作られている。

それに対してC-C'を見るとCが背中を見せているのに対し、C'は胸を見せており、手にマンドリンのようなものをもっている。Cではそうは見えない。

このように対称性を破ることで動的な表現を目指したのではないか、と思われる。

石棺彫刻02になると彫刻がさらに大規模なのでわかりにくいが対称性が導入され、全体の秩序を醸し出している。
ロマネスクのフリースではいかがでしょうか?
今後みつけたら紹介します。
石棺彫刻はもう一つ紹介します。それは唐草模様に埋め込まれた表現が面白いものです。

この図はMac版Open OfficeであるNeoOfficeを用いて作成しました。他にApple iPhotoを使用しています。

投稿者 iida : 11:29 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月21日

石棺彫刻02 リファレンスとしての古代彫刻

石棺彫刻に彫刻作品を充満させる手法はロマネスク教会のフリーズに転用されたと指摘されています。
例えばサンジールのキリスト受難物語
それが本当かどうか、広範囲にさぐらなければいけないのでしょうが、ここではローマのたぶんカピトリーノ博物館にある石棺彫刻をお見せします。ローマ時代のものであることがなんとなくわかると思いますが、男たちは兵士のヘルメットをかぶっても体にはなにもつけていない、腰も隠していないという奇妙なスタイルです。

roma02.jpg

横から撮影したものもお見せしましょう。

roma03.jpg

どうでしょうか前回紹介したものよりも人体表現、密度、構成、格段に優れています。もちろん石棺ですのでオーナーの金銭力でできばえも変わってきたでしょうが、技術面が向上しているように見えます。年代やオーナーの同定はひろってこなかったのですいません。

投稿者 iida : 01:44 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月06日

石棺彫刻01 リファレンスとしての古代彫刻

ロマネスクへの古代ローマからのエコーの一つは石棺彫刻である。
連続かつおびただしく埋め尽くされたそれらの彫刻は単独でつくられた彫刻とは異なるものである。
例をいくつか。残念ながら解説できるほど知らない。

roma01.jpg

ローマ時代の石棺彫刻(ローマ、たぶんカピトリーノ博物館)
この石棺彫刻をわざわざ撮影したのはキリストの光背を持つような構図を思い出したからである。
たとえばウィーンのザンクトシュテファンのタンパン
もちろん石棺彫刻では故人が中心だろう。

投稿者 iida : 00:55 | コメント (0) | トラックバック

2005年05月20日

サモトラケのニケ Nike

リファレンスとしての古代彫刻2
サモトラケのニケ
この彫刻の美しさは翼を広げたなびく衣服から風を見ることができることにつきる。
そして船の舳先にあまりにぴったりである。

nike.jpg
ニケ Nike

ルーブルの解説(日本語)

人間+翼 は天使の原型といってよいのだろうか?
当時のギリシャではどのようなエピソードがあったのか、残念ながらしらべていない。webでみてもたいした情報はなかった。

ミロのビーナスと続いてこのようなギリシャ彫刻を見るとロマネスクの世界は芸術というよりマンガの世界という感じがする。ロマネスクは工芸品であって芸術ではない、という言い方がしっくりくるか。ゴシックは標準規格であるISOを思い出させる。

私の友人の山本君はギリシャ彫刻は冷たい感じがしてそれほど好きではない、と高校時代バス停に向かう道で歩きながら話していたことを思い出す。

投稿者 iida : 23:19 | コメント (0) | トラックバック

2005年05月15日

ミロのヴィーナス Vénus de Milo

リファレンスとしての古代彫刻

ミロのヴィーナスがロマネスク彫刻に直接エコーしているわけではない。
しかし、彫刻がギリシャー>ローマと経てきたことを考えるとみておかないわけにいかない。Romanesqueの言葉の由来がRoma建築や彫刻の劣った模倣と言う意味で使われたのならば。図像の類似性という概念だけで図像系譜を語るのは微生物形態だけで微生物の分類をおこなってきた微生物学を思い出させる。しかし石の中にはDNAはない。ギリシア彫刻には当時の文献もないようだ。ローマ彫刻は当時の文献はどのくらいあるのだろうか?考慮に値する資料は何があるだろうか?とは思うものの、専門家でない私にはひどく難しい。せいぜい写真をならべ注意することだけである。

それはともかく読者諸兄よ、あまりにミロのヴィーナスは美しいではないか。
これも宗教表現だったと聞く。こういうのがごろごろしていたギリシア文化の総体というのは想像もつかない。

milo_venus2.jpg
ミロのヴィーナス Vénus de Milo

重心、人体表現、布地の表現などをみておく必要がある。
*2005/05/20 写真を更新

投稿者 iida : 23:43 | コメント (0) | トラックバック