ウィーン:応用美術館 (下)

引き続き聖衣を2点見て椅子を見よう。最後にクリムト。

 この聖衣はまた教会装飾そのもの。

 襟の部分は荘厳のキリストと4福音記者で背景は青に星。このキリストはベルゼ・ラ・ヴィルのキリスト(壁画)をおもいださないか?もちろんタンパンだったら、中心部のキリストはマンドルラにかこまれ同様な構図である。

 下の方は天使である。色とりどりの柱頭にのっかったアーチの中で天使は立像でこちらをむいている。

 襟の部分に近付こう。残念ながらキリストの顔ははっきり撮影できなかった。周りの星が意外と大きい。キリストの腰掛けるいすは豪華な椅子ではなくなにかとうかなにかであんだ簡素なものに腰掛けている。

 キリストはマットレスに足をのせている。このマットレスの赤、左手のそでか本の赤、襟の赤、光輪の赤とが構図を垂直にシャープに見せている。

 4福音記者のうちやはり二人が表わされているがこれはキリストの方に体をむけているが、首は外側を向いている。牡牛は怪獣みたいだ。

 この襟は上の聖衣の反対側である。

十字架のキリストと両側はマリアだろうか?図像が不鮮明で残念だがこれ以上わからない。

 この聖衣は全体が方形に切られ動物が文様化されておさめられている。

 角の立派な鹿が左のほうにいる。狼か犬のような獣。鷲や鳳凰のようなポーズの大型獣のカタログにもなっている。

 上と同様。動物の文様化が進み動物達は自由な方向を向いているかのようだ。カンディンスキーの晩年の作を思い出す。

 かなり変型された動物達もいてロマネスク全盛という感じか。

 折り畳み椅子。13世紀初期。

 今でもこの形式の椅子は良く使われている。木の部分がアルミにかわっているだけである。

 腰掛けるところには革をはっている。注目したいのは木に彫刻が全体にあしらわれており上の聖衣と同様な雰囲気をかもし出していることだ。

 支柱には犬かなにか怪獣の頭がついていてバイキングを思い出させる。また円形の模様と唐草模様が分かると思う。

 

 上の椅子を横から見て拡大したもの。右に唐草模様が見える。この唐草模様はほんとに典型的なもの。以前書いたフランスロマネスクの文様を集めたページを参照。シュテファン大聖堂のリーゼン門に刻まれた唐草紋と比較するのもいいかもしれない。

左には円形の中に狐(狼?)、楯、鷲、犬、花弁をあしらった楯、鳥?があしらわれている。

 クリムトはれっきとした近現代人だがロマネスクをずっと見てきてふとみると結構ロマネスク好きだったんじゃないかって思える。この左のものは木がのびさかり枝葉がおいしげり、それが紋様となっている。その中にいる鳥、木の幹の装飾の仕方など。こういうものはロマネスクの柱頭彫刻を思い出させる。シュテファン大聖堂のリーゼン門での柱頭も同様である。

 もちろんクリムトにあっては単純に枝葉を紋様化したわけではなく独自に展開している。また、ロマネスクの壁画や壁面彫刻やステンドグラスには対応する生い茂る植物というものは見当たらないけども。

 そういう意味ではクリムトは知られている割には理解されていない画家なんではないかと思う。

*写真はクリックで大きくなります。

 以上応用美術館の膨大なコレクションのうちロマネスク(中世)のものにスポットを当ててみてきた。私としては聖衣にもこのような紋様を入れていたことをはじめてしり、ロマネスク的紋様というのが、写本、彫刻だけでなく衣や椅子といった様々なところで描かれ続けていたことを知り、いわゆる芸術作品として現在では考えられているもの以外にもロマネスク装飾のものがあることに驚きを覚えました。

 さて次回はここをはなれ、ボッシュやロースなどを見る予定です。

(上)はこちらです。

2000/02/22 作成

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