ウィーン:応用美術館 (上)

応用美術館は非常に美しい内部空間をもっている。内部の工芸品は中世からの工芸品や美術品でたいへんコレクションはすばらしい。グラス、皿、机、テーブル、いす、じゅうたん、地下には仏像(!)もおいてある。当時のお金持ちの趣向がよくわかるおすすめのスペースである。

 内部に入る。人気のあまりない空間だが、一目その美しさに目を奪われる。

 私のように列柱すきなものにはこたえられないアングル。柱とアーチからのぞく向こうの列柱と相似図形がよびあい密度の高い空間が仕上がる。

 柱頭はそっけないが美しくしあげてある。

 回廊の天井はゴシック風に彩色してある。

 アーチから建物の天井を眺める。アーチがアーチを呼び図形が反射しつづけるかのようだ。

 天井はガラスで自然光もはいってくる。

 さてこの美術館のスタートは中世から。中世というのはロマネスク・ゴシックが一緒にされているためだ。ここではゴシックはおいておいてロマネスクに特化しよう。ロマネスク部門は以下に紹介する聖職者のマントと椅子が紹介してあった。

 このマントの装飾の主題は聖母マリアと幼子キリストおよび4福音記者である。中央のマリアは下の写真を見るとわかるようにおっぱいをキリストにあげている。

4福音記者というのは天使、鷲、獅子、牛で中心のマリアとキリストをとりかこんでいる。ただし天使と鷲はマントの縫い合わせにかくれている。

この構図はまるでタンパンそのまま。

モワサックのタンパンを思い出してみよう。これは中心はキリストだけですが。

マントの下部は装飾された方形のなかに動物がおさめられている。鷲の形、獅子の形に注目してほしい。まさに東方起源という感じ。

 中心部分によってみよう。

 マリアが幼子キリストにおっぱいをあげている。マリアのおっぱいの角度がへん。それはともかくマリアのユーモラスな表情は中世の写本そのもの。キリストはひざからずり落ちそうになっているのをマリアがだきかかえている。

 マリアの青い衣にシャルトルのステンドグラスを思い出したりもする。

 マリアとキリストの下にはアーチをくぐる二人の人物がいる。実際のところこの拡大写真をみれば布がつぎはぎになっているのが分かると思う。むりもない。13世紀中頃のものなのだ。

 タンパンに興味のある我々としては4福音記者がいれば注目せざるを得ない。左下の獅子を拡大したものだ。

 獅子=復活=マルコ=瞑想である。

 頭には天使の輪があって手には羊皮紙かパピルスか巻き物の書物をもっている。これが福音書

獅子は二重の輪の中に中心から遠ざかる方向を向きながら振り返りマリアとキリストをみている。

羽がやわらかな感じでよい。

 まわりの卍模様にも注目。

 右側は牡牛だ。つのが生えているのでよくわかる。このポーズも獅子とはシンメトリーになっている。たしかにこの向きで描かれた方が空間が広がるようにみえてすぐれている。

 牡牛=磔刑=ルカ=力。

 さきほど話にでたモワサックの動物はもっと大きくてずんぐりしているがこの作者はスマートな比較的スマートだ。

 他の象徴は肩のつぎにぬいこまれみえなくなっていた。残り二つは以下のとおり。

 人=托身=マテオ=知性

 鷲=昇天=ヨハネ=瞑想

ところで染料って何使ってたんだろ?

植物由来のものではすぐ退色するから顔料(鉱物)?ということも考えられるがよくわからない。

 このテキスタイルはシチリア由来といわれている。1260年ごろおられたものだそうだ。

これはまた別の聖衣なのだがロマネスク的図柄にあふれている。ペルシャなどの東方でみるかのような模様が展開している。獅子、白鳥、鳳凰、鶏。これらをメダルにおしこめ整然と並べた様子がとてもおもしろい。

 

*写真はクリックで大きくなります。写真は画像処理をして明るくしてあるので明るい液晶モニタの方は大形画像で荒れが目立つかもしれません。また、

さていかがでしょうか、ロマネスクの図像様式、象徴形式はこのようなところにもあからさまに表わされているのです。さて次回は他の聖衣と椅子を紹介します。

2000/02/11 作成

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