ベズレー/Vezelayのタンパン彫刻
このベズレーのタンパンはロマネスク芸術を代表するあまりにも有名なものである。(写真はクリックで大きくなります)
内容は使徒達にキリストが布教の使命を与えるシーンである。中央にはキリストが座しその両手には使徒が表されている。そして一番周辺には布教すべき未開の人々が表わされている。
彫刻はきわめて大胆・激烈な表現で、見るものを圧倒する。
このタンパンのキリストの右手と左手(左)の写真を御覧下さい。手から光が出ています。(写真はクリックで大きくなります)
この光は福音の光です。キリスト教を布教しなさいという使命の光です。これらの人物は手に本を持っています。福音書なのでしょうね。
人物像はタンパンのスペースで決められており、われわれのよく知るプロポーショナルな取り扱いはされていません。はじの2人のほうが小さく彫られています。
しかし、これらの衣服の美しい曲線。こういうところにギリシャ・ローマ時代の古典文化の継承をみることができます。このような美しい曲線は人間の優しい表情とともにつかわれるとゴシック時代になっていくようです。
さて、ではこのタンパンの周辺を見てみましょう。はじめにタンパンの上の円周部分にもなにか彫られていますね。それが下で横道12宮をあらわしているそうです。なかなかグロテスクで、さそりやなんやかの小動物が蠢いています。
次にタンパンの下を見てみましょう(下)。人間があらわされています。しかし普通の人間ではありません。
耳の長い人々や羽が生えています。これはヨーロッパの外の世界のキリスト教化されていない人々なのです。かつてギリシア時代にはギリシア国家の外の人々はバルバロ人と呼ばれていましたね。まさしくそれらの人々です。(写真はクリックで大きくなります)
当時の世界観はTOマップから読み取ることができます。TOマップとは当時の世界地図です。そこに書き込まれていたのはヨーロッパ、小さなアフリカ、と東方世界をすべてしめすイスラエル。そのさらに向こうには、怪物のような人間たちがすんでいると考えらていました。このことは当時の拡大したローマ世界から一歩もそとに当時のヨーロッパ人たちがふみでてないことを示しているわけです。
われわれは笑えません。そう!火星人なんてタコの格好してましたからね。当時から人間の認識なんてやつは情報が減ると極度に恐怖の対象が現われてくるのですね。多分、こういうやつがいた。オレはみたんだ〜。というたぐいの人が広めたのでしょう。
柱頭彫刻についてはTulane大学のサイトのユダの首吊りを見てみてください。
ロマネスクからだんだん離れてしまいました。このヴェズレーのタンパンのそっくりさんはオータンのサンラザールにあります。この関連は地域的にも近いことがありますが、当時の彫刻職人達が移動してタンパンなどの彫刻をつくっていったようです。
1998/3/25 飯田 記
2000/3/17 リンクはり直しなど改定。