ベズレー/Vezelayのタンパン彫刻

その1

 べズレーの有名なタンパンは教会入ってすぐの正面にある。この空間をナルテックスと呼ぶ。もともとは異教徒がキリスト教に改宗するために洗礼を受ける場所であった。

写真1(クリックで拡大)

写真2(クリックで拡大)

 タンパンの主題はキリストが使徒にキリスト布教のお告げを出すというものである。マタイ伝28章18ー20の言葉がイメージされているという(饗庭孝男 フランス・ロマネスク 山川出版)。「我は天にても地にても一切の権を与えられたり。されば汝ら往きて、もろもろの国人を弟子となし、父と子と精霊のみ名によりてパブテスマを施し、我が汝らに命ぜし凡ての事を守るべきを教えよ。視よ、我は世の終わりまでに常に汝らと在るなり。」1130年頃作成。(タンパンの一般論はこちらこちら参照)

写真3(クリックで拡大)

 写真3の中央がキリスト。ひざをゆったりとまげて椅子にすわっている。キリストの身体はアーモンド型のマンドルラに囲まれている。両手をひろげているが、左手は欠けている。

写真4 キリスト頭部

 写真4から明らかなように、表情は厳めしく親しみのある顔はしてない。また、頭には光背がついていて十字が刻まれている。

 キリストの手の下にいる人々が使徒である。写真2から明らかなように、いわゆる枠の法則にしたがい、キリストの右手側(向かって左)のキリストよりの二人と外側の二人はサイズが異なる。外側の二人は存在している空間のサイズにしたがい収縮されている。一方、向かって右側は一様に同じサイズの使徒を配置している。

 

写真5

 写真5はキリストの右手の拡大写真である。右手からは光がでている。これが福音(精霊の火)をあらわしているようである。使徒はそれぞれ本をもっている。これがキリストの光に対応する福音書である。

写真6

 写真6にキリストから一番左にある使徒2人を示した。写真6も含めてそれぞれの人体表現の衣服に目を向けると衣服はややわざとらしくドレープをもっており波立たせている。関係あるのかどうか知らないが、写真6の2人の脚の間のドレープは飛鳥仏の表現を思い出させる。

 写真2の使徒の足下を見ると一直線に衣服の裾がそろっている。下半身は身体の存在を強調するように衣服からすけて脚が浮いて出ているが上半身はそのような表現とはなっていない。

付記:

 このベズレーのタンパンはかなり巨大である。人とのサイズを見比べてもらえばわかると思う。

  

 2003/2/11 飯田 記

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