フランス・ロマネスク教会の建築と彫刻

ロマネスクとは

 フランスロマネスク様式の建築と彫刻は11〜12世紀ごろブルゴーニュや南フランス地方に展開されました。このころヨーロッパはローマ時代の後の混乱期の中からようやく独自な道を見つけはじめヨーロッパの基礎となる社会を形成しはじめた時期といえます。教会史的にはクリュニー派がその勢力を高めた時期です。この時期の建築はローマが過去にその最盛期にかけて巨大な建築を残したのに対し、ちっぽけで、しかも窓を開けてしまうと建物が不安定になるために窓を少ししか開けることができず、したがって内部が暗い建物を作る技術しかありませんでした。また教会に彫られた彫刻は大変ユニークです。


彫刻について

 これらの建築には多数彫刻が彫られていて、その表現は大変ユニークです。左はモワサックの教会の正面の柱の彫刻で獅子が交差して組み合わされて表現されています。

 20世紀はじめの美術史家アンリ・フォションも、

「あのように神秘的に石に絡みつき、しばしば不可解な、死滅してしまった言語の文字にも似た気紛れな記号を建物の表面に刻み連ねているこの不思議な夢想は、一体我々とつながりのあるものなのだろうか。」(ロマネスク、西欧の芸術1、神沢栄三ら訳、鹿島出版会)

と述べているほどです。これは実はすでに当時の12世紀の聖ベルナルドゥスも、信仰に、過剰で、意味をなさない彫刻は必要ないといっていたくらいなのです。

 ロマネスクの彫刻は西欧自身のガロローマンの表現、ケルトの表現にヨーロッパの外側からの文化の流入物が熟成された過程としてとらえるとわかりやすいかもしれません。というのは、これらの文様のモチーフは東方から染織物などを経て入ってきたように考えられるからです。例えば、フランスのサンス大聖堂には5世紀にまでその起源をたどれる織物があり、それらはキリスト教化したエジプト、アレクサンドリヤ、パノポリス、ビザンティン、ササン朝ペルシャのものだといいます。

タンパンについて

 左の写真はベズレーのタンパン(ティンパヌム)です。タンパンというのは教会の扉のすぐ上のアーチ部分の半円形の部分に彫られた彫刻です。サン・ジルの教会ではこんな感じです。


タンパンのパターンは3パターンあって、

1:黙示録のキリスト(例 モワサック

2:天に昇るキリストを表わしている(例 トゥルーズのサン・セルナン

3:審判を下すためにあらわれたキリスト(例 コンク

彫刻は象徴的である。たとえば1の例をあげてみよう。キリストの周りには4頭の怪物がいるが、これは

  • 第一の意味: 人、牛、獅子、鷲 
  • 第二の意味: 托身、磔刑、復活、昇天
  • 第三の意味: マテオ、ルカ、マルコ、ヨハネ
  • 第四の意味: 知性、力、労働、瞑想
  • つまり見るものがそのままの意味をなしているわけではないのです。

     柱頭彫刻について:柱頭彫刻は文字どおり教会(例 コンクモワサック)や教会付属回廊の柱頭(例 モワサック)に刻まれた彫刻で、植物や動物達がほられている。ベズレーでは聖書の題材(例 ユダ)のが彫られていたりしているが、それも生い茂る植物とともに彫られている。

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    ヨーロッパ中世の時間について

     時間の概念はこのころ決まってきました。人間はどのように時間を認識してきたのでしょうか?その音楽や、科学との関わりが述べてあります。[山本氏記述]