ロマネスク教会の建築と彫刻
モワサックの獅子
モワサックの正面タンパンの下には獅子がいる。この獅子をすこし眺めてみよう。モワサックの正面はロマネスク彫刻の傑作である。
モワサックをすこし離れてみると下左のような教会である。前回述べたようにアーチ型のところにはタンパンとよばれる彫刻がある(右)。
このタンパンの下はどうなっているだろうか?
タンパンを中央で支えている柱の正面には獅子がXの字を描くように交代に積み重なり合っている。
そしてこの柱の向かって右側の面にはエレミヤ(Jeremiah)が彫られている。この人物の頭上には一見コキーユ(帆立貝)(巡礼の象徴)に見えるが植物の葉が描かれている。
私が興味をもっているのはタイトルからわかるように獅子である。この獅子の写真のバックを消してみよう。
この2頭の獅子の形態はじつに美しい。互い違いに前足をおしりにのせ、X字をつくっている。これは柱に用いるとじつに安定感をます彫刻デザインであると思う。
さらに注目は尾までがX字を作って2頭はからみあっているのである。
そして尾の先っぽを見てほしい。花かつぼみか実かはっきりとはわからないが植物になっている。
これはロマネスクの語法の定石でもあり、ここモワサックも深くロマネスクの語法が根をおろしていることがわかるのである。ここでは紹介しなかったがモワサックのこの正面には無限くり返し組み紐模様など実に興味深い彫刻が多い。
これらの彫刻表現の1つの起源となったケルトでは動物と植物の融合や組み紐模様が古くから見られる。
動物と植物という区分はなかったのかもしれない。これら描き方はゴシックではあまり見られないやりかただ。なぜ100年というオーダーで消え去ってしまったのだろう?
よく見ると獅子の消し去ったバックに刻まれているのはタンパンの下の丸い花の模様である。この花の模様が連続模様をつくり地となってT字を門の中心につくりあげ、そこにこの獅子とタンパンがのっかっているのである。
じつによくデザインされている。
最後に疑問を。
素朴な疑問なのだがこの獅子をどこで見てきたのだろうか?それともこれは狼なのだろうか?
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(1998/7/9)
1998/7/9 作成
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