エジプト逃避。私はキリスト者ではないので、なぜ、ヘロデ大王による幼児虐殺がおきるときにキリストだけでなく、他の男の子たちにも天使によるお告げをしてあげなかったのか理解に苦しんでいる。

それはともかくこれはヨセフへのお告げだったのでヨセフも無事ロバ引きとして登場させてもらっているシーンである。以下既出のオータンの柱頭彫刻およびちらと出したソーリューの柱頭彫刻、さらにここでは初公開のモワサックのポーチの向かって右手上にある彫刻を紹介しよう。(写真はクリックで大きくなります)

オータンのサンラザールの柱頭彫刻室にあるエジプト逃避。ロバの前足がぴょんとしているのに後ろ足がピンとしてどことなく変である。

 マリア様はゆったり揺られている様子が実によい斜め前を向いている。はやくエジプトにつかないものか。キリストはこちらを向いている。

ヨセフはひたすら歩く。ロバを2頭借りられれば彼もあるかずにすんだのではないかと思うのだが、エルサレムとエジプトって歩いていける距離なんでしょうか。かつて旧約でも移動したとはいえ。
 ソーリューのサンタンドッシュ教会のエジプト逃避。ロバはもっと丸くてそれらしい。これとくらべればオータンの彫刻なんてレリーフ程度の浅い彫りである。

 オータンとは向きが逆。ヨセフはもっと柱の奥にいる。マリアはまっすぐ進行方向をみている。キリストは抱きかかえられているただの幼児に見える。これにくらべるとオータンのキリストはこちらに向かって宗教的なメッセージを伝えているといえるのではないか。

 ソーリューは暗かったのと柱頭までの距離が近かったのでフラッシュを炊いてみた(あまり人がいなかった)。しかしフラッシュはダメですね。コントラストがつかない。
 さて、この写真は画像処理で明るくしてあるのでまあまあ見えるわけです。

 さて、ロバは足下に俵のようなものがあり、これはオータンのものと共通です。9世紀の記録によると、この教会はオータンの権威に従っていたということです。(ブルゴーニュ・ロマネスクの旅 池田健二著 旅行用パンフレット)

 しかし、俵のようなものすらきちんとおさめないことで道を歩む動きをあらわしているように見えます。オータンのものではもっと整然とならべてあります。

 さてモワサック。モワサックのあまりに有名なタンパンの向かって右の壁にあります。はじめに目に付くのはロバというよりは牛のような動物ですね。しかし、タンパンの動物表現をみてもらえばわかるように見事に「モワサック」様式になっています。

マリアとキリストは向かい合っているようにも見えます。布地の表現がオータンでは透かし彫りっぽいのがモワサックではひだをくっきり浮かして彫刻してあります。

まえから並べて比較してみたいと思っていた同モチーフの作品を並べてみました。ロマネスク形式はあるひな形のコピーでなくて各地域のやり方で表現されていることがわかりますよね。たとえばディジョンのケルト風〜ガロローマンのさらに古い表現は考古学美術館にいけばみることができます。他のモチーフも思いつけばまた。

2003/1/27 (月) 作成

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