
それではサンジール・デュ・ガール教会の彫刻を見てみましょう。はじめに教会の正面に近寄って見ます。正面中央には扉が見えますね。そして扉の上にはアーチが作られていてそこにはなにか彫刻が埋め込まれています。ここの部分をタンパンと呼びます。また柱があしらわれていることがわかります。その柱の間には人物像が彫られていることがわかります(写真はクリックで大きくなります)。
このタンパンには栄光のキリストが表されています。中央のだ円の中はキリストで、外周部に4つの生き物に取り囲まれています。これは人、牛、獅子、鷲でヨハネの黙示録の図像化です。それぞれの生き物には羽が生えています。さらに詳しくはこちら。
次に柱とともに並んでいる人物像の代表的なものを見てみましょう。正面扉の右です。この二人は聖大ヤコブと聖パウロです。足で怪物をふんずけているのがわかります。
次は、その上、扉を見上げてみましょう。植物をモチーフとした紋様や、鷲がすぐにわかりますね。ロマネスク教会にはこのような装飾的な彫刻が施されているのです。
正面の左にうつって見上げてみましょう。このタンパン(アーチの下の彫刻)には聖母子を中心としてマギの礼拝とヨセフの夢におけるエジプト逃避のお告げが表わされています。
その下の扉のやや上はフリーズといわれる部位で「エルサレム入城」、その右側は「ユダの裏切りへの報酬」および「神殿浄化」が見えます(下図)。また、ローマ様の装飾的な柱がたてられており、それら柱のあいだには使徒像を見ることができます。
紋様および怪物は土着民が持っていた文化、聖人などの表現はローマの古代文明の彫刻の名残になっているといえます。この地はもともとローマに支配されていたのが(480年くらいまで)、その後フランク王国、西フランク王国の一部となります。それゆえ、12世紀のこの表現は土着民の文化とローマの文化が500年かかって融合した結果と見ることができます。土着民といっても東西ゴート族がここを通っていったのでなんといっていいかわかりませんが。また、ここで、踏まれている怪物は土着民の信仰していた神々だという説があります。キリストへの改宗によって怪物へと姿を変え、キリスト教へと取り込まれていったというのです。
次はキリスト受難劇のページをアップロードします。聖書の物語が場面ごとに刻まれています。(1998/4月下旬あたりに掲載します)