コンク/Conques
サント・フォワ教会/Sainte Foy
2.天国部分
コンクのタンパンについて「ヨーロッパのキリスト教美術(上)」pp136-137(エミール・マール 著、柳 宗玄/荒木成子訳)および「ロマネスクの図像学」エミールマール著、田中仁彦ら訳、国書刊行会 ISBN4-336-03891-0を参考にまとめました。写真はクリックで大きくなります。
マール氏によればコンクのタンパンは13世紀において花開く壮大な「最後の審判」図のほとんどすべての要素があらわれているといいます。
以下順にみていきましょう。
天国部分の全体の写真を見て下さい。タンパン中央のキリストは天国側の手を上にあげています。(クリックすると大きな写真がダウンロードできます。新規取り込み。)
このキリストに向かって上段の人々が列を作っています。その下は三角屋根にロマネスクアーチの「神の家=教会」があらわされています。
はじめに上の列の人々の拡大写真を下に示します。
選ばれた人たちは、右から順に聖母、聖ペテロ(鍵を持っている)、(おそらく)隠修士聖アントニウス(タウ型の杖をついた厳かな瞑想家)、その後ろは修道院長聖ベネディクトゥス。その次は修道院長に手をひかれたカルロス大帝。この皇帝は修道院長の伝説的な恩人とされている。
天国にはいるところではモワサックでも初登場のアブラハムが二人の義人を抱きかかえており、天国は柱廊になっている。
コンクの聖女フォアはキリストの流された血の徳である聖杯を持ち、特別席である神の手の前にいる。
キリストの下
キリストの下では聖ミカエルが秤をもって善悪をはかっており、冷笑的に口をゆがめた悪魔が秤が地獄側に傾くように狙っている。これは最後の審判を表わしており、トゥールーズでもすでに柱頭に表現されているそうです。
この図像は南フランス中にひろまり、起源は挿画入写本を仲介してオリエントから受け入れたものだとマール氏は述べています。
マール氏によると、9世紀後半のカッパドキアのペリストレーマの教会(トルコ中央部、ニーデ県、ベリシマ渓谷のイランルキリッセ[蛇の教会]の西壁画下部にあるという)で、天使が秤を持つ像が見つかっている。
これはさらにキリスト教化されたころのエジプトから来たと考えられており、ファラオ時代のエジプトはその「死者の書」の巻物や地下墓室の壁画に「霊魂の審判」からきているといいます。
つまり山犬の頭をした神アヌビスは玉座につくオシリスとその42人の補佐役の前で霊魂と「正義」を秤にかけ見守っている。エジプトの人々はキリスト教化されたとき、オシリスがキリスト(審判者)、アヌビスを聖ミカエルと転換して考えていたと解釈できます。
マールは、よほど古代エジプト人はこの像が恐ろしかったに違いないと結論しています。
つぎはいよいよタンパンの地獄部分を見てみましょう。
飯田 記 2000/5/3 改定 1997/8/30 追記 1997/9/7, 9/12