第3章 <<ファサード彫刻の図象学的諸問題>>
2 フリーズ・ゾーンの図像学的考察
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まぐさの位置に『最後の晩餐』図像を配する扉口は比較的数が少ない。このうちサン・ジルとの比較で注目すべき作例はブルゴーニュ地方のサン・ジュリアン・ド・ジョンジー(Saint-Julien-de-Jonzy)
[Pl. 40]である。この教会の『最後の晩餐』はサン・ジルとほぼ同様の構成を示し、明らかにヨハネ伝を典拠としている。(ただしユダはテーブルの前に配されている)タンパンにはマンドルラを背景としてキリストが座し、二人の天使が左右からこれを支えている。Y.
クリストは典拠を示さずこの図像を『キリスト昇天』とみなしているが、まぐさとの関連を無視した彼の解釈は受け入れがたい。H.
フォションが同定したようにこの図像は広義の意味での『栄光のキリスト』であろう。四福音記者の象徴を伴うか否かはここではあまり重要ではない。『最後の晩餐』のテーマが『ユダの裏切りの予言』であり、この場面の直後に救世主の栄光が確認される文脈を考えれば、タンパンの図像がまぐさと内容的に関連していることは明らかである。 ロマネスク美術における『神の顕現』の図像体系は、偽ディオニュシオス、スコトゥス・エリウゲナの象徴主義的神学を母体としてクリュニー修道院を中心に形成されたものである。[60] クリュニーに程近いサン・ジュリアン・ド・ジョンジーにこうした内容の図像がみられることはサン・ジルの図像プログラムの源泉がクリュニーにあることを示唆している。サン・ジュリアン・ド・ジョンジーが1130年頃に位置付けられ年代的にサン・ジルを若干先行することもこれを裏付けると言えよう。 |
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