2005年03月17日
皮磨きとコットンの話
昨日、革製品の手入れをいたしました。手入れをしていると、皮質の善し悪しがよくわかります。あるものは何とも言えないしっとりとした深い色合いになっていくのに、あるものは手入れの手応えがない。リーガルの靴は少々手入れをしなくてもそれほど古びた感じになりませんが、なぜか手入れしても、いいなぁ〜という感動が薄いんですね。非常にはきやすくて大のお気に入りなんですけれど。一方でイタリア製のショートブーツで、手入れを怠ると何とも色あせた貧乏臭ーい感じになってしまうのに、磨けば磨くほどに深い色と艶が出てくるのがあるんですね。「う〜んイタリアって感じ♡」と、一人で悦に入っていますが、考えてみればあんまり実用的じゃないですね。使い込んで出る良さ、ってのはあるけれど。
お気に入りのコートの話を一つ。デプレのコートで、3年ほど前に7万円くらいで購入したものです。安物というわけでもないですが、革製品としては決して高いものではない。薄め・硬めのオイルドレザーで、細身のトレンチコート風デザインです。もったりとした重さに一目惚れして、買いました。
細かいところをよくよくみると、実に仕上げが粗い。皮の端は切りっぱなしで、使っているとところどころほつれた感じになってしまう。ステッチもよく見れば落ちかけているようなところがある。返し縫いもあまり丁寧でない。ステッチの糸と皮の張力のバランスが悪く、引きつれているようなところがある。裏地は、皮の伸び縮みをはじめから予想してか、必要以上にたるみが多い。それに皮の質も均質ではなく、目立たないところにはきめの粗い皮を使っていたりします。ぱっと見はよくても、いかにも二流品って感じです。それでも、かわいいんですね。磨けば磨くほどつややかになり、手間ひまかけてきれいにしてあげると皮が生き還っていくようでした。
そんなこんなで皮とお話ししながらミンクオイルを刷り込んでおりました。皮を磨くときには傷を付けないように柔らかい布で磨きます。いろいろ試しましたが、古い綿の下着を切って使うのが一番経済的かつ皮もきれいになるように思います。またミンクオイルは室温では少し固いので、布に含ませた後すこしストーブの熱で暖めてから磨き込むようにつけていきます。
おっと!これはスキンケアと全く一緒。というか、まさにスキンのケア、です。肌を手入するときにも、コットンで行いますよね、これは肌をいためずに、キメと化粧品をぴったりフィットさせる必要不可欠なもの。合繊入りのものや、同じコットンでも硬いもの(例えば綿シャツなど)では皮に傷がついてしまいます。肌の場合なら、合繊入りなんてもってのほか、一本一本の繊維がしなやかなものを選ぶ必要があります。
すこし暖めるのも、皮によくオイルがしみ込むようにとの知恵ですが、肌の場合も使った後に手で肌を覆って体温でしみ込ませるようにしますね。全く同じ理屈。そしてべたべたがなくなるまでよく磨きます。でなければ、使い心地ももちろん悪いですし、使ったオイルをすべてまんべんなく皮の表面に行きわたらせることが必要。肌の場合も、場所によって多少があっては、けっして美しい肌は望めません。
そして、その手入の根底にあるのは、愛情。このコートが好き、この靴が好き、と思うから丁寧に扱いたいと思う。傷を付けないお手入をして、長く使いたいと思う。お肌も同じ。自分の肌をいたわる気持ちが、きれいなお肌を作る第一歩です。「肌と靴を一緒にしないでよ!」という声が聞こえてきそうですが、あまりにも、自分の時間を持たない、あるいは作らない方が多いのも現実です。ぜひ愛情込めて肌に触れることのできる「自分だけの時間」を、一日のうちに数分、作ってみてください。
投稿者 kayo : 2005年03月17日 10:09
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