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メッセージ/はじめに
私は皆さんがこの手記を自らの声に朗読されながら読まれることを強く希望する。何故なら皆さんによって朗読されたこの書き物が皆さんの聴覚を撃った時、言葉はめざめ皆さんの中にベートーヴェンのアレグロを呼び起こすだろう。誰もが共有し誰もに共通する心臓の音楽、それがベートーヴェンのアレグロなのである。
人の肉体は如何にも哀しく儚い。けれども肉体在るものは全て鼓動という音楽で繋がっている。ベートーヴェンはそのことを後世に伝えながら常にPianoに向かった。そうして32曲のピアノソナタが創られたのである。少なくとも私はそう信じていたい。
この書き物をよく理解し貴重なホームページに紹介してくれた飯田君に深い感謝の念を此処に示したい。
1997-8-29
日比 工
ベートーベンの森/The Forest of Beethoven 日比 工/Hibi Takumi 一 「今も尚僕の正面にアレグロ楽章を弾く人よ、あの日僕に与えた鍵盤の夢を
もう一度繰り広げてはくれまいか。」二 「物とものとの繋がる瞬間に存在する火花に永遠の音楽は生まれる。」
三 「音楽を考える、奇妙な言い方だがベートーヴェンならば黙して頷くだろう。」
四 「夜明け近くベートーヴェンはまだ動かぬ。そして僕もじっとして居る。
じっとして故郷を想う。」五 「俯いて眼を閉じたベートーヴェンを囲む深い霧は果たして寒いのだろうか。」
六 「ベートーヴェンよ、僕の冷え切った肉体をその真空の時間の中に暖めてくれ。
音楽という真空の時間は僕にとって、唯一の温度在る場所なのである。」七 「ベートーヴェンの青春も恐らく「ハイリゲンシュタットの遺書」の苦悩の中に
始まったのである。若き日の彼はそれに気付かず天使に祈った。」八 「僕の遥かな恋人との距離に、純白の雪はやがて積もるだろう。」
九 「静かな冬の雪降る夜、僕は或る野心に身を焦がして居たい。
故に僕は満足して居る。」十 「音楽は思考か行動か、そうだ音楽は生身の肉体の健康な心臓の音であり、
その純潔なる魂の告白である。」十一 「現状を生きよ、彼は厚い唇に唸るように呟くと大きな目を見開く。
そうして又ピアノは力強くなり響くのである。」十二 「ベートーヴェンの沈黙の歌は今宵、はっきりとした言葉となって僕の耳元に
囁いている。現状を愛せよと。」十三 「僕はベートーヴェンの黙する故に美しい此の神聖な音楽を己の声に歌いたい。」
十四 「此の『ピアノソナタ第三十一番』の「嘆きの歌」と題された短い旋律に
僕は魂の救済を何時も見出す。」十五 「『ピアノソナタ第三十二番ハ短調』の懐に活発に運動を繰り返しているのは
既に全盛期のそれではない。幾度も病んだ者の回復に向かう肉声に他なるまい。
しかしそれは以前の健康を思い出しているのではなく新たなる健康を愉しんでいる。」全15章 1997/10/13 完了 (編集責任 飯田)
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日比さんへのメッセージ(飯田にもccしてくれるとうれしいです)