モン・サン・ミッシェル1 投稿者:iida 投稿日:07月25日(火)12時17分47秒(元記事)
7/7 はモン・サン・ミッシェルへ Cityramaのバスツアーを使いました。 ツアー全体の感想はセ・ボンでした。 あそこはパリからは遠いので事情がゆるせば是非 レンタカーで宿泊しながらまわりたいものです。 今回は下見って感じなんだけど、次はいついけるか。 昼・夕食ついてこれもなかなか満足できました。 モン・サン・ミッシェルはものの本によると 身廊部はロマネスクとなっていたが、あまり写真が 紹介されていなかった。 それで知名度の割にロマネスク・ゴシック建築 としてはたいしたことないのか?と思っていたの だが、見事に裏切ってくれた。 モン・サン・ミッシェルのロマネスク部分は 確かに身廊部分にあり、そのほか断片的に ロマネスク様式の窓などがありながらも 後世の手によって全体にはゴシックに見えたりする。 地下にサン・マルタン礼拝堂という見事なお堂があって ここは純粋ロマネスク。 ロマネスク/ゴシックの対比が非常に感じられるところで 私はロマネスク/ゴシックというのは単に時代の はやりの工法かと思っていた。 例えばロマネスク聖堂がこわれたので当時の工法 のゴシックで作り直しました、とかいうような。 そしてゴシックの背が高い建築物も ゴシック工法がなければ存在しなかったであろうが ゴシック工法では背も高くできる程度の 考え方であった。しかしここ、モン・サン・ミッシェルは ゴシックでなければこのような構造いや寺院としての 形態をとっていないのではないかと思われるほど 構造と機能が結びついている。 次回より見学経路にそって各部分を見ていくが その前に概略を書いておきましょう。 聖堂は島の頂上に位置し、そのわきの回廊は 3階(日本でいう)に位置している。 聖堂の屋根は木組み。 回廊はゴシックで屋根は木造。 聖堂の下にはゴシックのクリプトがあり、 控え室に使われてきた部屋もある。 さらにその下の一階にもゴシックである。 最後にサンマルタンという礼拝堂にいくが これは先も書いたようにロマネスク。 ここを見ると、このロマネスクの工法では3階建でスペースを確保 できる構造はできないと確信できる。 これまでゴシック建築にはほとんど興味が わかなかったが今回ゴシック工法の 巧さにはじめて納得できた。 むしろこれまでロマネスク/ゴシックという対比を デザインや心情やレトリックから見ていたのであって エンジニアリングの観点からその特徴を 見ていなかったことに気がついた。 さて、御託をならべていてもしょうがないので 写真プレヴューといきますが今回は ●63 バスの中から。小雨でした。 ●64 駐車場よりみあげる。 ●65 城壁の機能も持つ。 ●66 こういうせまいところをてくてくと。中世の 雰囲気ばっちり。 ●67 まだまだ途中。見上げると内陣の外側が。ゴシックですね。 ●68 ロマネスク部分も残っています。 ●69 ファサードに辿り着きましたが、その前の光景は はれてたら絶景・・・。 続く・・・・
モン・サン・ミッシェル2 投稿者:iida 投稿日:07月26日(水)09時16分23秒
聖堂にはいる。 聖堂は島の頂上である。 ●70_01 ファサードを見る。斜よこから。 このファサードは1776-1780年に聖堂の 7つの径間のうち3つをとりこわしたあとに つけられたもの。 身廊を外から眺めておいて下さい。 ●70_02 ファサード正面 さすがに塔ははいらないけどこれでファサードが わかります。当初は塔があったようです。 ●71 はファサード前の石に刻まれた石工のサイン。 給料をもらう大事な証明 ●72 中にはいって交差部から見上げる。 教科書にあるようなロマネスク。 高窓の石から壁のあつさを実感してほしい。 天上は木組み。 高窓からトリビューンにかかる力は アーチ2つで分散されている。 その下のアーチの下は床。 複合円柱がまだそれほど発達していないこともわかるだ ろう。手前のものはゴシック改築にあわせてつくったものか? ●73 ガイドさんの説明が終わった後にあらためて撮影。 アーチの運動。古代様式を参考にしながらロマネスク様式ができ つつあることがわかる。 柱頭彫刻は大ぶりでノルマンディー色の強いものだとか。 ●74 柱頭彫刻 うねうねとしたまるっこい彫かた。 植物をあらわすロマネスク文様にしてもランゴバルト様式 とは異なる。 明日は回廊へとすすむ。
モンサンミッシェル3 投稿者:iida 投稿日:07月26日(水)20時05分03秒
>白黒フィルム 私の選択はポジでした。で、Konicaの威信をかけたCd-Rの データの一つ紹介すると・・・デジカメやめたくなる。 73_gをみてください。f22+プロヴィアの威力です。 オリジナルを80%縮小かけています。オリジナルはoriginal をみてください。ただしでかい(450 k)です。 (ここから主題) さて、聖堂の内部はいきなり壁面に注目するというマニアックな ことをしてしまったので、まず正面にちかいところから眺めてみよう。 ●75 聖堂内部 身廊から内陣 身廊の壁面はロマネスク。さて内陣は? 御存じゴシック様式である。内陣は1421年にすでに崩れたので ゴシックで立て直されたのである。ベズレーと事情がにている。 このため入り口からはいった雰囲気、すなわち暗い身廊と輝く内陣、 が同じである。 みくらべて見てほしい。(15、29など) さてこのあと部屋を引き回すことになるので はじめにだいたいの概略を見ておこう。 ロマネスク期とゴシック期のモン・サン・ミッシェル の模型を示す。 ●76 ロマネスク期 聖堂ができている。ここで身廊がいまよりも ながくて7間あることに注意。また塔が低い。 袖廊と内陣をささえるためにクリプトは3つ作られた。 内陣の下のクリプトは内陣の崩壊とともに増築され ゴシックにかわった。 ●77 ゴシック期 ファサードに塔ができてきている。このあと左側にも つけられたようだ。 聖堂の手前に回廊ができている。 なんと回廊はこんなレヴェルにあるのだ。 76と見比べてもらえれば回廊の下から建物を 積んで(日本でいう)3階に回廊が位置していることになる。 また、壁体についている補強用の柱にも注意。 ●78 回廊 では回廊にでよう。 天井を木造にしたのは3階のレヴェルで大きな荷重をかけたくなかった から、という説明だった。 実際この柱は3本一組になっている。建築上の力点を3本の柱で うけとめれば一本一本を細くすることができる。 これは明るい回廊の実現となってあらわれている。 この回廊はロマネスクのフォントネーのものとくらべて明るく軽やかだ。 しかし、同じロマネスク期でも モワサックのものは木造の屋根の採用でモン・サン・ミッシェル同様に 柱が細く明るい。ここらへんは当時の建築思想などをしらべていければ おもしろそうだ。 http://home.fwi.ne.jp/~arts/kazuhiro/romanesque/moissac/cloitre.html モワサックよりもさらに美しくしているのは4すみにも太い柱をおいて ないことだ。この写真の中心に4つ角があるのがわかるだろうか。 ●79 回廊の柱 したがってこの角からみるとこういう写真がとれる。 柱のつらなる様子は実に美しい。 また、この柱頭はじつにそっけない円盤型のもので 柱の根元も同様。 3本の柱の合わせ目がわかるだろうか。 ●80 回廊の彫刻 回廊の彫刻は柱頭ではなくこういうところにある。 フォション氏の議論をもってすれば機能とデザインの 噛み合わない余白に彫ったことになる(汗) 彼はオリエントの彫刻を示した。 話がそれたが、これは四福音記者。 砂岩(?)のやわらかいところに彫ったそう。 他にドラゴンなどが彫られていた。
モンサンミッシェル4 投稿者:iida 投稿日:07月27日(木)08時59分35秒
今回はクライマックスです。 ●81 貴賓の間 この回廊のしたは日本でいう2階であるが このようなゴシックである。 ゴシック工法なのでこのような細い柱で高い天井で 上の回廊の荷重をうけとめることができたのである。 見事。 ●81_02 騎士の間 ここは先の部屋と同じ階の別の部屋 柱がやや太い。 ●82 大クリプト(ファイルに_sとつくものは60%に縮小してある) 私達は今内陣のしたのクリプトにいる。 ここも見事なゴシック工法で内陣を支えていることが わかるのだが残念ながら柱などは暗すぎて撮影できなかった。 ●83 クリプト・サンマルタン さてロマネスクに焦点をしぼるならば、ここ。 ここ以外はどうでもいいと思わせるあまりに 美しく、かつ、ロマネスク美学の成就したもの。 逆にいえば、ロマネスク自らの建築発想のルーツであり エンジニアリングツールのオプションの貧困さをさらけだしている。 しかし、そうだからこそこのサン・マルタンは技法と 美学的デザイン力はまた別であるあることも教えてくれる。 中央の窓のあるのが主祭壇で1/4ドーム。 ドームをアーチが取りかこみ向かって左にも扉がある。 窓と窓のまわりの石の組み方に注意。 この部屋はアーチと壁体だけで構成されており柱がない。 ●84 窓 この窓は主祭壇向かって右のものだったか。 壁体は2メートルの厚さ。 この厚さと柱をもたない構造はどれだけ強固なのかは わからないが、ゴシックとの違いがわかるすぎるくらい わかる建築物。 この壁体の厚さこそ、ロマネスクの光と闇を印象づける 正体だ。窓からもれる光がなでる石の肌が素朴で 我々をトリップさせてくれる。 ●85 入り口側にある窓 この明かりはやらせ。ランプがおいてある。 でも。いい演出である。同じく石の肌をなでるように 見ると幸せになれる。 次回で怒濤のプレビューいったんおわりです。
モンサンミッシェル ファイナル 投稿者:iida 投稿日:07月28日(金)13時20分04秒
●86 大階段 大階段は南北をむすんでいるロマネスク期 に作られているものなのが石の組み方からわかる。 ●87 散策の間 散策の間とついているが用途はわからないらしい。 ロマネスク期につくられたがゴシック様式の 交差ボールトにかえられたそうだ。 ロマネスクの壁にゴシックのボールトを つけるというのが課題だったそうである。 ●88 柱頭 獅子 獅子といえばイギリスのリチャード獅子王。 ●89 散策の間の窓 窓はロマネスク? 窓の両脇のボールトは 半円柱でうけずに処理されている。 これはフォントネーでもあった。 プランをみないとこのボールトの 荷重を外壁でどのように逃がしているかわからない。 おまけ ●73_g2 聖堂内部の写真(オリジナル)。これは入り口はいってすぐのところから。 銀塩で三脚、パンフォーカス。プロヴィア。 なかなかシャープにとれているでしょ? 隅々まで見えていると思います。 パンフォーカスで向うまできちんとみえると アーチとアーチの重なるリズムのようなものが 感じられます。 露出はおおめだけれど色はデジカメよりあってます。 Nicon coolpixは青にひっぱります。 実際はみどりかかったような感じでした。 ●モンサンミッシェルのまとめ いかがでしたでしょうか? 私としては駆け足のガイドさん(フランス人女性 日本語うまい) に説明されたのちもう一度写真をとりなおすという忙しい ツアーでした。30分程の自由時間だったので 土産物屋さんにはいけなかったのですが皆さんへの お土産はこれが一番(笑)?? モンサンミッシェルについてかえってからロマネスクやゴシックの 本を見てみたけれど意外にのってなくて、驚きました。 とくにカマボコ型のクリプトサンマルタンや 通常未公開のプレロマネスクのノートル・ダーム・スーテールはもっと 紹介されてよいと感じました。 モンサンミッシェルは私のゴシック感を大幅にかえましたが それだからこそなおさらロマネスクへのフォーカスがしぼりやすかったです。 聖堂の中にはいって「教科書みたい」とか、 サンマルタンを見た時の「これだ!」という感覚は いまだ忘れられません。 このモンサンミッシェルは西洋の驚異(ラ・メルベイユ)という キャッチフレーズなのですが、それは3階建てを孤島に たててしまったからのようですが、それはロマネスクとあまり関係 ないので書きませんでした。それと、驚異といっていまうと あまりに薄っぺらい印象になります。もっともっと印象は 深く多様でなにかこうもっと語りたくなってしまうもの。 実際に予定以上に原稿がふえてきたのでドラフトは ここまでとします。
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